ニュースリリース

第42回マーケティングサロンレポート「マーケターという生き方」

第42回 マーケティングサロン
「マーケターという生き方 〜外と内、現場と理論を超えゆく実践〜」

日程:2016年1月9日(土)17:00~19:00
場所:神戸大学学友会 大阪凌霜クラブ
ゲスト:資生堂ジャパン株式会社 執行役員 マーケティング本部長(CMO) 音部 大輔 氏
サロン委員:吉田満梨・関西サロン委員一同

 

【サロンレポート】
ゲストの音部大輔氏 2016年の初回を飾る今回のサロンでは、資生堂ジャパン株式会社 執行役員・マーケティング本部長の音部大輔様をゲストにお迎えしました。音部様はこれまでP&G・ダノン・ユニリーバ・日産自動車、そして資生堂と複数の企業でブランドマネジメントを実践してこられました。また神戸大学大学院経営学研究科で博士号も取得された方です。まさに現場と理論を超える視点から、マーケターとは何を考え、何をなすべき仕事なのかについて、お話をいただきました。

 

 今回は非会員も参加可能としたこともあり、会場は超満員。参加者も、研究者・実践者と様々な方が集まりました。音部様と参加者とのディスカッションでは、グローバル化への対応やマーケターの育成そしてCMOの役割など、マーケティングの本質的な課題について質問が出され、多様な視点から意見が交わされる場となりました。

 

【概要】
「ブランドって何?」
 いきなり本質を突く質問から、音部さんのプレゼンテーションが始まりました。
簡単な質問ほど、答えるのは難しい。ブランドとは何か、その立脚点が明確でなければ、そのための仕事「ブランドマネジメント」が何を追求すべきかは分かりません。

 
会場の様子 会場の様子
音部さんの本質を突く質問が繰り出されます
 
 例えばメルセデスベンツ、と言われたときに人は単に「高級車」と思うだけではありません。品質や価格、店頭経験や社会での評価やユーザー像などなど、その製品に付随する「意味」を思い浮かべ、それに対価を支払います。つまりブランドとは、意味なのです。
→《音部さんの答え「ブランドとは意味である」》
 
さて、次の質問。
「じゃ、ブランドマネジメントって何?」
 ブランドがあるとビジネスの実践において、どんなメリットがあるのか?ブランドが持つ意味は、消費者の記憶に積み立てられます。仮に昨年度から1億円のブランド投資を行っているとしたら、その1億円分の記憶が消費者の中に蓄積されていると考えられます。ここに今年度、さらに1億円分の投資を行うと、
〈蓄積されていたブランド価値1億円+今年度の投資1億円=2億円〉。
 つまり、今年は1億円しか投資していないとしても、市場に与えるインパクトは2億円分になるということです。だからこそ、ブランディングは投資としての価値を持つのです。継続するほど、投資効率は上がっていきます。つまり
→《音部さんの答え「ブランドマネジメントとは、投資効率を上げていくことである」》
 
「では、ブランドマネジメントの要諦とは?」
 ブランドが「意味」であるなら、ブランドマネジメントとは「意味づくりのプロセス」です。そこには、どんな業種業態でも変わらないコンポーネントがあります。すなわち、
① どの市場で②誰に③何を④どう提供するか の4つです。
 ブランドの「意味」は、この「③何を」に入ります。「③は商品じゃないの?」と思いがちですが、商品は④「どう提供するか」にあたります。パンパースが「赤ちゃんがぐっすり眠れる」価値(③)を提供しているとすれば、届け方は紙おむつ(④)だけでなくても良いわけです。
 
集合写真
前列中央右側が音部大輔氏です
 
 顧客価値を基点にすれば、事業・製品の展開は拡がる。逆に自身の価値を製品領域に限定すれば、その製品カテゴリーの衰退とともにブランドも衰退してしまいます。消費者の中に蓄積するためには「価値」でなくてはならず、価値であればこそカタチを変えて永続し、その資産を消費者の記憶に積み立てていける訳です。そしてその積み立てが大きくなれば、投資効率があがり、利益が出やすくなっていきます。
 
 音部さんの質問は、「ブランドとは」など、すべて本質的なものでした。しかし本質的であればこそ、議論の範囲は大きく広がりました。ご参加の多様な方からの意見が出て、新しい気づきがありました。また出てくる事例も、グローバルブランドから、映画「七人の侍」まで幅の広いこと!
「マーケッターの思考法とは、本質を捉え、間口を広げ、新しい価値を探していくこと」。
 音部さんは正に講演の中で、このマーケッターとしての思考法を実践しておられた訳です。お話だけでなくその講演スタイルからも、「マーケッターの仕事とは何か」を学んだサロンでした。
 
(サロン委員:岩井琢磨)

 
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