ニュースリリース

第57回マーケティングサロンレポート「都市と地方をかき混ぜる『食べる通信』のビジネスモデル」

第57回 マーケティングサロン
「都市と地方をかき混ぜる『食べる通信』のビジネスモデル」

日程:2017年3月2日(木) 19:00-21:00
場所:神戸大学梅田インテリジェントラボラトリ
ゲスト:『兵庫食べる通信』編集長・ファームアンドカンパニー株式会社 代表取締役 光岡 大介 氏
サロン委員:小林 哲(コーディネーター)・瀬良 兼司

 
【サロンレポート】
 食べ物を通して都市と地方をつなぐ情報誌『食べる通信』は、東日本大震災の復興の過程で、2013年に東北で始まりました。その後、その活動は全国に広まり、現在、全国各地で小さいながら新たな食のムーブメントを起こそうとしています。今回は、『兵庫食べる通信』編集長の光岡大介氏をお迎えし、『食べる通信』の取り組みや『兵庫食べる通信』の活動についてお話いただきました。
 
『兵庫食べる通信』創刊の経緯
 光岡氏の本業は、「野菜ビストロレギューム」という西宮にある有機野菜を取り入れたフレンチレストランの経営です。有機野菜の宅配やレストランなどの事業を展開していく中で、有機野菜に関心のある利用客には、「有機野菜を毎日摂りたい人」と「生産者を応援したい人」が存在し、両者の間にギャップがあることに気づきました。そこで、両者をつなぐ事業として目を付けたのが『食べる通信』です。『兵庫食べる通信』を始めることで、「有機野菜を毎日摂りたい人が、生産者を応援するようになる」、そんな想いが光岡氏にはありました。
 
光岡大介氏
ゲストの光岡大介氏
 
生産者と直接交流することで生まれる「圧倒的なリアリティ」
 『食べる通信』の特徴は、単なる食材の宅配や頒布会ではなく、食べることからスタートすることにあります。『食べる通信』は、主に都会に住む人が食べ物の裏側の世界に共感し、都会では味わえない「生きている実感」やコントロールできない自然の存在、自分の命のルーツに対する発見の機会を提供します。そこには「圧倒的なリアリティ」が存在し、商品である前に食べ物であり、食べ物である前に命があることを気づかせてくれます。
 『食べる通信』の読者は、読者専用のFacebookのグループページで生産者と繋がり、読者が届いた食材を使って作った料理をページにアップし、それに対して生産者がコメントするという、都会に居ながらにして、読んで学んで、料理して食べ、生産者との交流にもつながっていきます。また、産地に訪問しての交流も行われています。生産者との交流を通じて体験することで、お客さんや読者として産地に触れた人が、生産者のファン、そしてサポーターになっていき、応援したいという気持ちが生まれます。
 
ディスカッション
 光岡氏による講演後、参加者は6グループに分かれて『食べる通信』についての所感や疑問を共有しました。『食べる通信』をビジネスモデルとみなすことで、収益構造や顧客属性に関することなど多方面にわたる質問や議論が行われました。中でも参加者の関心が高かったのが、事業の持続可能性に大きな影響を与える収益性に関する問題です。規模の効果がなかなか聞かないビジネスであることや、単独ではなかなか収益をあげることができず他の事業との相乗効果を高めることが重要であることが確認できたところで終了時間となりました。
 
【サロンを終えて】
 光岡氏が『食べる通信』のマーケティングを「仲間作り」と表現していたのが非常に印象的でした。『食べる通信』が描いている、顧客(読者)による「共感と参加」によって、生産者のサポーターになっていくという「仲間へのステップ」は、単に有機野菜(農法)に対してこだわりを持つ顧客を増やすということにとどまりません。読者である都会に住む人々が、SNSや食事会における生産者との交流を通じて、「生産者と直接会えるリアリティ」を体感し、「食べ物の裏側の世界」について知ることで、サポーター(仲間)になる。ここに、『食べる通信』の特徴が表れていると思います。一方、生産者にとっても『食べる通信』は顧客との新たな出会いをもたらす大きな機会となっている。ここに、都会と地方をかき混ぜ両者の関係を取りもとうとする『食べる通信』の真の狙いがあることがわかりました。
 今回の内容は、通常のビジネスにおいても役立つ内容が多く含まれており、ゲストと参加者とのインタラクティブな場では、「食」という誰しもに共通するテーマであったことからも、活発な議論が行われました。最後に、ゲストの光岡様、積極的に参加いただいた皆様に、この場を借りて心より感謝申し上げます。

 
集合写真(前列中央が光岡氏)
集合写真(前列中央が光岡氏)
 
(文責:瀬良兼司)

 
Join us

会員情報の変更や、領収書の発行などができます。

入会についての詳細はこちらから。

member