ニュースリリース

第72回マーケティングサロンレポート「ブランド戦略入門 ~成功事例から考える~」

第72回 マーケティングサロン:名古屋
「ブランド戦略入門 ~成功事例から考える~」
日程:2018年4月5日(木)19:00-21:00
場所:中部生産性本部セミナールーム
ゲスト:田中 洋 氏(中央大学ビジネススクール 教授、日本マーケティング学会 会長)
サロン委員:坂田隆文・須賀友嗣・古池政裕
 
【サロンレポート】
 ブランド戦略は今日では多くのビジネスパーソンが考えるべき重要なアジェンダとみなされています。しかし、多くの企業においてブランドを議論しはじめるやいなや、しばしば混乱が生じます。この混乱は、ブランドというコトバで何を論じようとしているのか、人によって大きく異なることから生じています。今回は、ブランドに対する理解を深めるために、マーケティング学会の会長でもある田中洋中央大学ビジネススクール(大学院戦略経営研究科)教授をお迎えして、『ブランド戦略論』(有斐閣、2017)をベースにお話をいただきました。
 
<概要>
 1990年代以降、ブランドは経営の重要なアジェンダになりました。流通や小売りの発展により、消費者が商品に対する選択の自由を獲得したことで、ブランドが強い企業が競争優位に立てるようになったからです。結果として、経営の重要なアジェンダはセールスプロモーションからブランドに移行することになりました。
 ブランドを「交換の対象としての商品についての認知システム」と定義することで、重要なアジェンダとなったブランドを一貫した理解によって扱うことが可能になります。単なる商品の名前やシンボルとして捉えた場合、ブランド戦略はいかに良い名前を付けるというかという議論に留まってしまいます。
 統合ブランド戦略は、土台から順に「経営」「マーケティング」「コミュニケーション」の3つのレベルで捉えることで、手順を追って組み立てることができます。「経営」のレベルでは「どこにどのようにしてブランドを構築するか」が、「マーケティング」のレベルでは「誰に価値をどのようにもたらすか」が、「コミュニケーションのレベル」では「何を誰にどのように伝えるか」が論点となります。
 ブランドをブランドたらしめる要因は何でしょうか。有名であるから有名だ、という循環論法的な状態になり、名前だけが一人歩きするとき、ブランドが成立することになります。そのような知覚イメージはどのように形作られるのでしょうか。「経営」のレベルの根幹にまでさかのぼると、ブランドはさらに「構想」と「イノベーション」の2つのよって支えられていることがわかります。成功しているブランドを調べると、ビジネスモデルに結実するような構想が起源にあることが豊富な具体例からわかります。同時に「あらたな生活のパターンをもたらす」あるいは「生活の優先順位を変える」イノベーションによって支えられていることもわかります。これら2つの根幹があった上で「起源が忘却」されることにより、ブランド名だけが記憶された状態が実現され、ブランドがブランドたるものになります。「製品力こそが本質的であり、ブランドは表層的だ」という考えもあります。しかし、ブランドは表層か本質かの2択で論じられるものではなく、それらの両者が必要であり、「構想」「イノベーション」という本質が先にあった上で「起源の忘却」が実現されるという時系列的な変化に重要性があります。
 
<グループワーク>
 講演の内容を踏まえて、サロン参加者によるグループディスカッションが行われました。各テーブルで、自らの抱える実務的課題や理論的理解についての活発な議論が行われ、議論内容の発表が行われました。発表内容に対するご助言と全体のまとめを田中先生にいただき、サロンを終えました。
 
【サロンを終えて】
 名古屋地区でのマーケティングサロンは、今回がはじめての本格的な開催となりました。多くの参加者による活発な議論がなされたことに、マーケティングに対するニーズの高さが表れていたように感じました。ブランドというマーケティングにおける重要なアジェンダについて、歴史的起源と理論的側面に、親しみやすい実際の逸話を加えた形の講演をいただいた上で、各自の抱える課題を実務家、大学教員の両方が含まれるグループでディスカッションが行われたことは、研究者と実務者の交流によってマーケティング力を培うというマーケティング学会のねらいを体現していたように思います。
 
集合写真
集合写真
 
(文責:本條 晴一郎)

 
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