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第71回マーケティングサロンレポート「マクドナルドはマーケティング変革をいかに成し遂げたのか」

第71回 マーケティングサロン(春のリサプロ祭り
「マクドナルドはマーケティング変革をいかに成し遂げたのか」
日程:2018年3月17日(土)16:00より
場所:中央大学ビジネススクール
ゲスト:足立 光 氏(日本マクドナルド株式会社 上席執行役員 マーケティング本部長)
サロン委員:京ヶ島 弥生、海野 浩三、芳志戸 啓
 
【ゲストプロフィール】
日本マクドナルド株式会社 上席執行役員 マーケティング本部長 
足立 光氏
一橋大学商学部卒業。P&G、ブーズ・アレン・ハミルトン、ローランドベルガーを経てシュワルツコフヘンケルへ。2005年に同社社長に就任。赤字続きだった業績を急速に回復した実績が評価され、2007年よりヘンケルジャパン取締役 シュワルツコフプロフェッショナル事業本部長を兼務し、2011年からはヘンケルのコスメティック事業の北東・東南アジア全体を統括。ワールド 執行役員 国際本部長を経て、2015年より現職。
 

【サロンレポート】
 2014年の賞味期限切れ鶏肉問題や2015年の異物混入問題などにより不振にあえいでいたマクドナルド。2015年にマーケティング本部長として入社した足立さんはいかにしてマーケティング変革を実行し、マクドナルドのV字回復を成し得たのか。当日は80人収容の教室に立ち見が出るほどの熱気の中で熱く語って頂きました。
 
 2015年、マクドナルドは業績回復の為のビジネスプランを打ち立てました。より消費者にフォーカスしたアクション、地域に特化したビジネスモデル、コストと資源効率の改善など、これらはビジネスとしては「正しい」方針でしたが、足立さんは「(先述の問題により)マクドナルドに抱いたネガティブな感情を払拭するほどのインパクトはない」と考えました。そこで、主に1. 新製品やキャンペーンの方向性、2. コミュニケーション戦略の変更、3. 話題化を主軸にしたキャンペーン開発、4. 顧客接点の多様化、5. 商品のマーケティングから、“空気づくり“と”ブランディング“へシフト」という考え方の下、にマーケティング戦略を再構築することとなりました。
 
1. 新製品やキャンペーンの方向性
 マクドナルドはサラダや“野菜”のハンバーガーなど、“ヘルシー”な商品を販売しています。しかし、多くの消費者に期待されているのは“ボリューム感のある”メニューだと考え、通常のビッグマックより更に大きい「グランドビッグマック」を始めとして、「クラブハウスバーガー」や「テキサスバーガー」など、マクドナルドらしい“おいしさ”を前面に打ち出した商品を展開、成功を収めました。
 
2. コミュニケーション戦略の変更
 テレビCMを中心とした従来のマス広告に加えて、メディアやファンの声を利用したSNS、ネットニュースによるコミュニケーションにも注力するようになりました。メディアや第三者、SNSを通じてニュースを伝えることにより、企業の”マス“広告よりも消費者の信頼や高い関与を得ることができるからです。上述の問題により消費者の信頼が低下していたマクドナルドにとっては特に有用な手段でした。
 
3. 話題化を主軸にしたキャンペーン開発
 メディアやSNSでニュースを拡散してもらうことが重要だからこそ、遊び心があり、消費者に参加してもらえるようなキャンペーン企画が展開されました。例えばNo.1のハンバーガーを決定する「マクドナルド総選挙」では延べ約2億もの投票を得ることとなり、売上げに大きく貢献しました。また、「ベーコンポテトパイ」を「ヘーホンホヘホハイ」と改名したり、面白く“いじられやすい”企画を次々と実施しています。
 
4. 顧客接点の多様化
 消費者にマクドナルドを「思い出してもらう」確率を増やす為、多くの企業とコラボレーションをすることに顧客接点の間口拡大を目指しました。Pokemon Goが日本に上陸した際、世界初・唯一のローンチパートナーとなりました。メニューでは森永ミルクキャラメル、ブラックサンダーのミルクシェイクが話題を呼びました。
 
5. 商品のマーケティングから、“空気づくり“と”ブランディング“へシフト
 上述の施策を通して毎週ニュースを発信していくことにより、“おいしい”イメージを醸成し、消費者がメディアとなり、マクドナルドのキャンペーンに楽しく参加できる雰囲気を作ることができています。これを足立さんは「LOVE OVER HATE」と表しました。
 
 これら5つの施策は、全てが一連のプロセスであり、特にSNSにおける情報の拡散が非常に重要な要素となります。そこで足立さんは、まず拡散されるための「RT(リツイート)を高めるツボ」を研究し、チームで共有、徹底化しました。例えば、“シズル感のある画像&投稿文”、“つっこめる内容”、“意外なニュース”等、消費者に面白いと思ってもらえるものを作ることを目指しました。また、新たなKPIとして、発売前のバズを意味する「プレバズ」を導入しました。バズを得るには多くのフォロー、拡散を得ることが必要であり、その為にSNSのアカウントには人間味を持たせ、その運用ルールを制定しました。いかに「リツイート」してもらうか、その方法を独自に編み出し、アカウント運用チームで徹底しました。現在もこのルールやKPIを元に各施策が展開されているとのことです。
 
 上記はあくまでも足立さんのお話の一部分でありますが、マクドナルドのV字回復を成し遂げたストーリーに、会場は参加者の熱気で一杯になりました。V字回復の成功要因は、綿密に練られた戦略の賜物であることは間違いありません。しかしながら同時に「マーケティングの面白さ」という“本質”を再確認するサロンになったのではないでしょうか。

 
(文責:芳志戸 啓)

 
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