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第81回マーケティングサロンレポート「ブランドビジネスで社会に貢献する―ジュエリーブランドHASUNAの事例―」

第81回 マーケティングサロン:東京(嶋口・内田研究会)
「ブランドビジネスで社会に貢献する―ジュエリーブランドHASUNAの事例―」
日程:2018年10月4日(木)19:00-20:30
場所:社団法人日本マーケティング協会
ゲスト:株式会社HASUNA 代表取締役 白木 夏子 氏
モデレーター:日経CNBCキャスター 佐久間 あすか 氏
 
【ゲストプロフィール】
起業家。ジュエリーブランドHASUNA Founder&CEO。
英ロンドン大学卒業後、国際機関、投資ファンドを経て2009年4月に株式会社HASUNAを設立。 ジュエリーブランドHASUNAでは、ペルー、パキスタン、ルワンダほか世界約10カ国の宝石鉱山労働者や職人とともにジュエリーを制作し、エシカルなものづくりを実践。日本におけるエシカル消費文化の普及につとめている。2018年には「パートナーシップのあり方を問い直す」をコンセプトに掲げたプロジェクト《Re.ing[リング]》をクリエイターの高木新平氏とともに立ち上げ、LGBTを含む多様な家族観・パートナーシップの社会意識変革を行う。
現在は株式会社CaSyほか各種企業でブランディングアドバイス、起業家の個人ブランディングや経営サポートもつとめる。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門受賞。 2013年には世界経済フォーラム(ダボス会議)にGlobal Shaperとして参加。2014年には内閣府「選択する未来」委員会委員を務め、Forbes誌「未来を創る日本の女性10人」に選ばれるなど多方面で活躍。
 
【サロンレポート】
 HASUNAはエシカルジュエリーの販売を行う企業である。発展途上国で素材の調達や加工を行っているが、現地に詳しいNGOと連携を取りながら取引を行うなど、工員をビジネスパーソンとして捉えて事業を行う新興国ビジネスのあるべき姿を実現している企業だ。そのため途上国に寄付等を行うことでの支援はしていないという。
 
 HASUNAが大切にしていることは可能なかぎり、流通経路が明らかであったり、顔が見える相手と取引をすること。そして、SDGsを各工程の末端まで体現するビジネスを行い、従業員や環境などあらゆるものに優しくおしゃれな商品を世の中に届けていきたいという想いである。そうすることで、発展途上国の商品が買いたたかれてしまうという資本主義の在り方を変えていきたいと白木氏は言う。そのため、HASUNAの事業モデルを様々な分野で真似してくれる人がたくさん出てほしいというのが白木氏の願いだ。
 
 創業当初は人もスキルもなく、ジュエリーの勉強をしながらプロボノに協力してもらうことで起業することが出来た。また多くの起業ピッチに参加し、協力してくれる人を募ることでビジネスの準備を進めてきた。多い時は60人ほどのプロボノが登録をしていることもあった。
 最初は中々思い通りの商品を作ることが出来なかったが、作業の過程でついた傷も商品の味と考え、強みに活かせるデザインに変更した。最初はエスニック色の強いデザインを販売していたが、取り扱う材料や生産できる商品の質も向上し、より洗練されたジュエリーが生み出せるようになった時にリブランドすることに成功した。
 
 白木氏は、常に生産国と顧客のことを考えている。素材の調達では現地の言い値で購入することとし、買いたたくようなことは決して行わない。この方法だと、商品の価格が高くなってしまうが、あくまでも手に取りやすい価格で抑えるように、無駄な広告に高額の費用を投じずInstagram等のSNS等で効率的に発信を行っている。それでも事業が継続出来ているのは、HASUNAの商品力の高さであり、それゆえにリピーター顧客も多い。HASUNAの哲学に共感していることもリピートしている理由の1つだが、それだけではなく、コーディネート講座やワークショップを開催する等、顧客が楽しんでくれるイベントを開催していることもリピーターが多い理由なのかもしれない。
 
【サロンを終えて】
 今回は、白木さんと佐久間さんの対談という形での講演でした。HASUNAのビジネスについてだけでなく、白木さんの想いや行動の背景を佐久間さんが上手に引き出してくださり、国際機関からファンド、起業という転身を決断された経緯や、起業後の幾多の壁をどうやって乗り越えていったのか、など貴重なお話を伺いすることができました。悩んだ時にお子さんも連れて海外を旅して新境地を見出し、ビジョンを語るリーダーシップスタイルへ転換されていったエピソードは、印象的でした。
 柔らかい雰囲気をまといながら強い意志をもち、果敢に行動して道を切り拓く白木さんの生き方、関わる人々の持続的な自立を支えるHASUNAのビジネスモデル、生産国の雄大な自然と美しいジュエリーの映像に、会場内は優しく凛とした空気に包まれました。
 最後に、登壇を快くお引き受けくださった白木さん、モデレーターの佐久間さん、またご参加いただいた皆様に、この場を借りて心より感謝申し上げます。
 
(文責:芦田裕)

 
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