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第87回マーケティングサロンレポート「おもてなしの国際比較」

第87回 マーケティングサロン:大阪
「おもてなしの国際比較」
日程:2019年2月23日(土)18:00-20:00
場所:関西学院大学大阪梅田キャンパス1005教室
ゲスト:ヘンリー・W・ブロック経営大学院 教授 マーク・パリー 氏
    関西学院大学大学院 経営戦略研究科 教授 佐藤 善信 氏
サロン委員:本下 真次・清水 恭彦
 
【サロンレポート】
 2020年東京オリンピックの招致プレゼンテーションでも話題を呼んだ日本の「おもてなし」。おもてなしの源流はどこにあるのか、ホスピタリティーとの違いはどこかなど、国際比較を行いながら進めた3年間の共同研究の成果の概要を、パリ―教授を始め佐藤研究室のドクターコース修了生や学生とともに発表。会場とのディスカッションで今後のおもてなし研究の可能性や課題などを共に考えました。
 

左より、マーク・パリー氏、佐藤善信氏
 
「禅」の考え方におもてなしの源流
 最初にマーク・パリー氏から「禅」の考え方に源流を求めた概念図が提示されました。日本はハイコンテクスト文化(互いに相手の意図を察しあうことで、なんとなく通じる環境のこと)を背景に、おもてなしは精神、態度、行動の三つの面で日本のサービスを発展させたのだと言います。
 
万葉集の宴とカラオケの接待ルールが共通!?
 佐藤善信氏は、相島淑美氏(関西学院大学大学院研究員・翻訳家)との共同研究の結果として、万葉集の宴とカラオケの接待の暗黙のルールがほとんど同じだと述べます。場の集合的価値と個人的価値の好循環という観点から、参加する人の教養レベルが高いと共創価値を生み出せるとのことでした。現在でも使われる「打ち上げ」という言葉は「うちあぐ」から派生しており、ゲストもホストも関係なく、宴において場を盛り立てるような歌を詠んだ人が高く評価されました。
 

平岩英治氏
 
日本のおもてなしの特徴は懐石料理に
 続いて、佐藤研究室メンバーである平岩英治氏(大阪経済法科大学経済学部准教授)が登壇し、日本のおもてなしの精神を茶の湯と懐石料理の事例で説明しました。エドガー・シャインの「組織文化の三つのレベル(人工の産物、信奉された信条と価値観、基本的な深いところに保たれている前提認識)」の理論を用い、超高級日本料理店と大衆日本料理店の比較分析を行っています。今後は、インターナル・マーケティングと関連付けながら、おもてなしを提供する従業員の「感情労働」に注目しているとのことです。
 

相島淑美氏
 
おもてなしの目に見えない部分への注目
 相島淑美氏はおもてなしの価値共創のメカニズムを発表しました。日本橋三越百貨店の現場観察、教育マネジャーや女将へのインタビューなどによって、現代における三越の接客の特徴を明らかにしています。その上で三越百貨店とノードストロームの比較分析を行い、おもてなしの目に見えない部分、例えば空気を読む、人格などに注目することの重要性が示されました。
 

本下真次氏
 
おもてなしをするのは営業?顧客?
 本下真次氏(関西学院大学研究科研究員)からは営業におけるおもてなしの考え方の問題提起がなされました。営業のおもてなしと言えば、会食やゴルフなど営業が顧客をおもてなしするイメージがありますが、顧客が営業をもてなすことで、営業から「人と組織の力」を最大限に引き出せ、長期的に見ると、営業の成長は顧客も得をするとの見方が示されました。価値共創を生むには「買い手の営業力」も重要だと言います。
 

出野和子氏
 
ネスカフェ・アンバサダー普及の背景におもてなし
 出野和子氏(関西学院大学研究科研究員)からはネスカフェ・アンバサダーの事例研究報告がありました。世界中でビジネス展開しているネスレですが、ネスカフェ・アンバサダー制度は日本だけで実施されており、「日本人のおもてなしの精神があるからこの仕組みは成り立つ」との高岡社長の言葉もあります。出野氏はホスピタリティー、組織市民行動など類似の概念と比較しながら、おもてなしの文化・組織構造・集団主義が価値創造のポイントだと述べました。
 

会場とのディスカッションの様子
 
おもてなし精神を世界に
 サロンのまとめとして、再度パリー氏と佐藤氏が登壇し、おもてなし研究の今後の可能性と課題について参加者とディスカッションを行いました。おもてなしを地域創生の道具として用いるなどのアイデアが示された他、東京オリンピックでのおもてなしや、おもてなし精神の低い国への導入可能性など、積極的に意見が交わされました。

 
【サロンを終えて】
 今回のサロンは海外からのゲストを招いての英語での基調講演、またゲストのゲストによる発表など、新しい取り組みを行いました。スケジュール的に忙しい面もありましたが、参加者からの質問も多く出て、多面的な視点からおもてなしを考える機会になったと思います。ご参加いただいた皆様の今後のおもてなし実践につながれば幸いです。最後に、本サロンはKG-MBAマネジメント研究会(関西学院大学公認同窓会)との共催で行われました。運営協力いただいた皆様に感謝いたします。ありがとうございました。
 

集合写真(前列右から3番目がマーク・パリー氏・4番目が佐藤善信氏) 
 
(サロン委員:本下真次)

 
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