ニュースリリース

第89回マーケティングサロンレポート
「人を育てる」

第89回 マーケティングサロン:東京・嶋口・内田研究会
「人を育てる」
日程:2019年3月20日(水)19:00-20:30
場所:早稲田大学 早稲田キャンパス 11号館 5階
ゲスト:慶応義塾大学 名誉教授 嶋口 充輝 氏
    早稲田大学ビジネススクール 教授 内田 和成 氏
 
【ゲストプロフィール】

嶋口 充輝 教授
慶應義塾大学名誉教授。日本マーケティング協会理事長(代表理事)
慶應義塾大学、ミシガン州立大学、両大学院の修士・博士課程を修了後、経営学博士号 (Ph.D)。国内外のビジネススクール客員教授歴任。数社の社外取締役、企業顧問を兼ねる。『戦略的マーケティングの論理』『ビューティフル・カンパニー ―市場発の経営戦略』『1からの戦略論』など著書多数。

内田 和成 教授
早稲田大学ビジネススクール教授。東京大学工学部卒業、日本航空を経て、慶應ビジネススクールで嶋口教授に師事。2000年6月より2004年12月までBCG日本代表を務める。2006年度に世界の有力コンサルタント、トップ25人に選出。2018年12月『仮説思考』『論点思考』に続く『右脳思考』を上梓。
 
【サロンレポート】
 今回の嶋口内田研究会は、マーケティングサロン活動への移管を記念して、嶋口教授・内田教授の対談を企画しました。
 テーマは「人を育てる」。数多くの学者、経済人を輩出している【嶋口先生流人材育成法】と、数多くの後輩コンサルタントを育てた【内田先生流コンサルタント育成法】、学者と企業人とコンサルタントで育て方に違いはあるのか?あるいは共通点が多いのか?
 両教授にご指導いただいた多くの門下生が参加するなか、お二人から「実際のところ」を本音トークしていただきました。
 参加された皆さんは、「育てられた当事者」として、また「部下や生徒を育成する指導者の立場」として、お二人の対談に聞き入っていらっしゃいました。
 
 対談のエッセンスを、いくつかご紹介いたします。
 
<それぞれのゼミでの教え方>
 嶋口ゼミでは、嶋口先生の「教えるなんておこがましい」という考えのもと「生徒に対して仲間として接する」としており、内田教授はそれを「松下村塾のようなゼミだった」と表現。ゼミ旅行でも旅館側が「誰が先生なのか?」と聞くような雰囲気のゼミ。怒らないのが【嶋口先生流人材育成法】。門下生からは「穏やかながら鋭いご指摘が飛んでくる緊張感のある環境で育ててもらった。卒業後も先生ならどうされるだろう、と背中を追いかけている」との声も。
 
【内田先生流コンサルタント育成法】は「徒弟制度」、アメとムチで人を育てる。①人に対しては怒らないがコンテンツに対しては厳しく、妥協しない。②ただしアイケアーユー(認めているよ)と示す。③最後は弟子にやらせ、痛い目に合わせること。ただし、師匠が、失敗した時の責任をとる(ケツはふいてやる)こと。
 
<MBAでは因果を教えるが現実社会では?>

 内田教授より「優れた学者、教師、経営者とでは違いはあるでしょうか? 学者、教師、ビジネスマンに向いている人、向いてない人というのはあるでしょうか? 私は嶋口教授の推薦があって教師への道が開けたが。」との質問。
 嶋口教授からは、「みんな可能性はある。学者でも、サイエンスの分野と違って経営分野では社会性・人間性も大切になる。MBAでは『因果』を教えているが、現実社会では『因果』より『因縁』だと感じることが多い。現実社会では原因と結果はストレートにつながっていない。人と人との関わりで大切になるのは『縁』。『縁』は与えられたものだが、『縁』を活用するかどうかで、色んなことが違ってくる。『縁』は『運』にも転じる。『運も実力のうち』という言葉があるが、優れた人材は『運』も味方につけている。」
 
<どんな人が大成するのか?>
 内田教授は「コンサルで大成する人は、打たれ強い人。コンサルには優秀なエリートが沢山いるが、つまるところ挫折が人を育てる。打たれ強い人、負けても立ち上がる人が強い。
 なぜなら『人間は成功からでなく失敗からしか学べない』成功からは学習することが難しい。失敗するからこそ、人は考えそれが学習になる」
 嶋口教授は「学者の世界で大成する人は、パターン化はできないが、自分を取り巻く環境に適応し、味方につけて、力をつけられる人。自分が褒められるのは周りのおかげであると意識して過ごしていけば、とりまく環境からサポートされる。」
 
<どんな人が化けるのか?>
 内田教授より「ビジネスパーソンでは急に『化ける』人もいるが、ビジネスパーソンの成長カーブと学者の場合の成長カーブの違いはあるでしょうか?」との質問。
 嶋口教授からは「学者でも化けることはあると思うが、マルクス経済学者の大内さんの『急いではダメ、怠けていてはもっとダメ、学び続けること』の言葉にあるように、謙虚に学び続けることが成果につながる。」
 
【研究会を終えて】
 嶋口教授と内田教授の豪華対談が実現しました。お二人それぞれの「育て方」のスタイル。研究者・経営者の視点、様々な角度からお話しいただけました。
 最後に嶋口教授からいただいた言葉は「学び続けなさい」。
 嶋口内田研究会は日本マーケティング学会とともに皆様に学びの場を提供させていただきます。今後とも嶋口内田研究会にご参加ください。
 ご登壇いただいた嶋口教授、内田教授に心から御礼申し上げます!
 
(文責:芦田 裕)

 
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