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第97回マーケティングサロンレポート
「54歳で会社を辞めてみた~トヨタでの31年と独立後の3年~」

第97回 マーケティングサロン:東京
「54歳で会社を辞めてみた~トヨタでの31年と独立後の3年~」
日程:2019年9月13日(金)19:00-21:00
場所:日本マーケティング協会 東京本部
ゲスト:A.T. Marketing Solution 代表、Visolab株式会社 CMO 髙田 敦史 氏
サロン委員:香川 勇介・村杉 暢子・田中 智子
 
【サロンレポート】
 年金支給開始年齢の段階的な引き上げに伴い、国は企業に対し支給開始年齢までの雇用確保を義務づけ、企業は定年延長や、定年の廃止、再雇用などの制度を整えなければならない状況になっています。一方で、年功序列による高額給与所得者の人数削減や企業の若返りを目的に退職者を募る早期退職制度も盛んになってきており、シニア社員を取り巻く環境は大きく動いているといえるでしょう。このような状況下で、私たち会社員は、定年前に会社を辞めるということも選択肢として持っておいてもいいのではないでしょうか。今回はA.T. Marketing Solution 代表 高田敦史様をお迎えしてこの課題について高田氏のご経験に添いながら、参加型で活発な議論を行いました。
 高田氏は、トヨタ自動車に31年勤められ、レクサスブランドマネジメント部長としてグローバルレクサスのブランディングおよび広告宣伝、広報活動を主導されてきました。高田氏が31年の企業生活で学んだこと、会社を辞められる人間になるためにやっておくべきこと、辞める判断はどうすべきなのか、など、具体例も交えてとても身近な話としてお話いただきました。
  
【概要】
シニアを取り巻く環境と31年の会社員生活で学んだこと
 高田氏のご経歴紹介の後、これからの50代以降の人が直面していくであろう日本の雇用状況についてご説明をいただきました。「定年延長の流れがある一方で、早期退職勧告が話題になるなど、シニア社員を取り巻く環境は大きく動いています。定年前に会社を辞めるという選択も考えておくべきではないでしょうか」こんな問いから、定年前に会社を辞めてフリーランスになる、という大きなご決断をされた高田氏の講演が始まりました。
 まず、会社を辞め、フリーランスになるために、会社員時代で学んでおくべきこと、盗んでおくべきこと、というお話がありました。実は会社の中にはノウハウが詰まっています。例えば、浅井すぐる氏の著書「トヨタで学んだ『紙1枚!』にまとめる技術」はトヨタの中で当たり前に習得していた暗黙知を形式知化したことで、多くの読者から支持されました。自社の中で当たり前と思っていることが実は素晴らしいことだったり、価値となったりするのだと思います。だから、それを盗まないのはもったいない、というメッセージをいただきました。
 
辞める判断はどうすべきか “手遅れになる前に会社をやめられる人材になろう”
 高田氏は会社員時代、「俺はトヨタじゃなかったら、どのくらいの人が相手をしてくれるのだろう」という問いが常に頭の中にあったと言います。40代前半の時、55歳までに会社を辞めよう、という直感のような思いがあったそうです。前述した、会社のノウハウを盗む以外に、人脈の作り方、社外での学び等、会社員時代にやっておくべき大切なことをお話いただきました。
 現在フリーランスでお仕事をされている高田氏の仕事内容の土台は、エキスパートとジェネラリストの両輪である、とのことでした。エキスパートの部分は、それぞれ15年ずつのご経験がある宣伝・広告と商品企画。ジェネラリストの部分は、手法や資料作成や社内説得の部分。このエキスパートとジェネラリストの両輪の土台があり、その上に自分で学んだことと人の縁が掛け算になって、多くの仕事の引き合いをもらっているとのことです。
また、これらをかけ合わせれば、多くの人は月50万円くらいは稼げると感じる、という力強いお言葉もいただきました。50歳~65歳までの年収シミュレーションも提示いただき、50歳時点で会社員として1000万円の収入がある人でも、55歳で仕事を辞め年収600万円(月収で50万円)をコンスタントに稼いでいけば、生涯年収は同じである、さらに言うと65歳以上も同じように稼いでいくことができれば、さらに多くの収入が得られる、とのお話もいただきました。
 さらに、高田氏が独立する後押しになったロールモデルの存在の大きさも挙げられ、将来なりたい自分とやっていることが近い人に、その人のやっていることを子細に教えをもらったそうです。人脈の大切さや自分にとってのロールモデルを持つことの必要性も実感しました。
 
後半は、多くの質疑応答が飛び交う
 今回は車座になって講演者と参加者の距離を近づけての場であったため、多くの質問が飛び交いました。「選択肢として、起業/フリーランス/M&Aで会社を買う/転職をする、など多くあると思うが、なぜフリーランスだったのですか?」「大企業と中小企業のブランディングに違いはあるか?」「業種によって得意/不得意はありますか?」「人脈を広げるときに気を付けているポイントは?」など時間ギリギリまで様々な質問が寄せられました。
 
【サロンを終えて】
 高田氏の「レクサスの部分を除いて自分の仕事の中で割と喜んでいただいている部分というのは、マーケティングを分かりやすく説明する、ということ。これが独立後1年くらいたって見えてきた」という言葉が印象的です。本日のサロンを通して学んだことは、「今、盗めることは盗んでおくこと」、「会社の肩書ではない人脈を作っておくこと」、「直感を信じてみること、そして恐れずに飛び込んでみると何とかなること」、「冷静に分析してみて、強み弱みを見極めた上で、昔お世話になった人にいただいた仕事に応えていくこと」、「自分が得意とすることに真剣に取り組むこと」、「そうすることで自然に輪が広がり、仕事が増えていく」ということです。参加者の方々からは、「話が近接化してよかった」、「楽しく且つ有益なる情報を得ることが出来ました」とお声をいただきました。
 最後に、田中洋 中央大学大学院戦略経営研究科教授からは、「マーケティング学会でサラリーマンの生き方を論じることは今までにない取り組みで、意見交換の場になったと思います。参加者のプレゼンターが十分対話できる体制も良かったと思います。今後もまたこのような機会を設けられたらいいですね」とのお言葉をいただきました。
 

集合写真
 
(サロン委員:田中智子)

 
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