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研究報告会レポート

第2回サービス・マネジメント研究報告会レポート「日本型"ナレッジブローカー"の定義に向けたワークショップ」

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テーマ:「日本型”ナレッジブローカー”の定義に向けたワークショップ」
日 程:2017年3月15日(水)18:30-20:30
場 所:関西学院大学 大阪梅田キャンパス(大阪市北区)

 
 今年度第2回目の研究報告会は、①オープニングレクチャー ②話題提供 ③ディスカッションの構成で実施しました。
 オープニングレクチャーでは、関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科教授の佐藤善信先生より、「B2B2C企業による中間顧客 の経営支援サービスの考察 」として教育・研修・経営指導をコアアクティビティとして顧客に向き合うサービスを展開する複数企業のケースを紹介くださり、従来の営業活動とは一線を画する包括型のサービス創造の魅力を学びました。
 
佐藤教授によるオープニングレクチャー
佐藤教授によるオープニングレクチャー
 
 次に、富士ゼロックス大阪株式会社 ニュービジネス統括部 上田利博氏より、前回取り上げた“ナレッジ・ブローカー”の捉え方として、ナレッジプラットフォーム(顧客、競合、自社、市場環境)・経験と知識・マーケティングメッセージと顧客価値創造・個人スキルと組織能力の4ポイントを、復習を兼ねて説明がなされました。
 
 今回の重要なコミュニケーション機会としてのワークショップでは、11名の参加者の中から以下の考察やインプレッションを共有し、日本型ナレッジ・ブローカーのさらなる定義付け(名称も含めた)につながる貴重な機会となりました。
 
参加者によるコミュニケーション
参加者によるコミュニケーション
 
ワークショップでのアウトプット・メモ(内容は各自の発信情報から抜粋)
1. 佐藤先生から『B2B2C企業による中間顧客の経営支援サービス』例として紹介された5企業の「中間顧客」は、事業主の経営力を高めると共に顧客満足の向上、強いては「中間顧客」の経営力強化に繋がると考えながら拝聴しておりました。市場や顧客ニーズを予測するには、データ・マーケティングが依然として必要とされ友好的な見方をされています。確かにデータは重要ですが、分析には解析するプロが必要で、しかし顧客に関するプロではないため、本来見るべき視点、すなわち「顧客」を見失っていると感じ、「中間顧客の経営支援サービス」の重要性を再認識いたしました。(菓子製造販売 商品企画開発部)
 
2. ナレッジ・ブローカーを成立させるための組織能力の捉え方に関心を持った。組織とは、ナレッジ・ブローカーを支援するという意味合いなのか、組織を構成するそれぞれの関与者にナレッジ・ブローカーとしての何らかの機能を持つニュアンスなのか、組織論からの考察についてのモチベーションが向上した。(化学薬品輸出・輸入)
 
3. ナレッジ・ブローカーがその立場(ナレッジプラットフォーム)故に、自社に関する知識だけでなく、積極的に市場に関する知識を獲得し、価値を創造するという点は、大いに考えさせられ、参考になりました。今後、このナレッジワーカーという概念がどのように操作定義されるべきかに関心があります。そのことにより、この概念の、他の近接する概念との相対的関係が明らかになると考えるからです。(大学教員)
 
4. 私は町工場を経営する二代目経営者ですが、日本型ナレッジ・ブローカーの概念作りに非常に興味を持ちました。私が製造業を営む上で、実践しようとしていることのヒントが多くあったためです。下請け企業の典型のような企業でも、大手メーカーからの信頼を得て、ほとんど指名受注をもらうことができています。場合によっては、私がユーザーのもとへ同行し、カーボンに関する知見を用いて納期の短縮化、コストダウン、歩留まり改善など、様々な問題解決に対する提案を行っています。研究会の中でもお話がありましたが、ニーズを認識する能力の重要性を感じます。それができなければ平行線で終わってしまう面談もあると思われます。そういうニーズを察知する感性というか、感覚を研ぎ澄ますことが私にとってのテーマであり、ユーザーと共感し合えることがとても重要と思いました。町工場でもナレッジ・ブローカーとして活躍できる人材がいれば、大手メーカーとの信頼関係が構築できると思います。それはきっと日本の製造業全体にとってのメリットになると思います。これからは選ばれた中小企業が、大手メーカーとの縦の関係を強化し、ただの下請けではなく機能していくべきだと思います。サービス業の意識を持って、ナレッジ・ブローカーとして活動していく必要性を感じました。まずは私が実践していきたいと思います。(カーボン製治具加工業経営)
 
終盤でも話題や発信は尽きず…
終盤でも話題や発信は尽きず…
 
進行:リサーチ・プロジェクト代表 向井光太郎氏(奈良佐保短期大学 生活未来科 准教授)

 
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