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研究報告会レポート

第4回ブランド&コミュニケーション研究報告会(春のリサプロ祭り)レポート「ラグジュアリーブランドのパラドックスとその解決」

第4回 ブランド&コミュニケーション研究報告会(春のリサプロ祭り)
テーマ:「ラグジュアリーブランドのパラドックスとその解決」
報告者(報告順):田中 洋(中央大学ビジネススクール)、高田 敦史(A.T. Marketing Solution代表、元トヨタ自動車)、 多久和 肇(ベルスタッフ・ジャパンCEO)
日 程:2017年3月18日(土)
場 所:中央大学後楽園キャンパス

 
【背景】

左から多久和氏、田中氏、高田氏
左から多久和氏、田中氏、高田氏

 ラグジュアリーブランドが世界的に市場を広げていることはよく知られているが、ラグジュアリーブランドのマネジメントについては限定された議論しかなされてこなかった。今回の研究会では「ラグジュアリーブランドのパラドックス」という概念をカギとして、どのようにしてラグジュアリーブランドの価値をマネジメントするかを実務家でこの分野のエキスパートを招いて報告と議論を行った。
 

【概要】
 まず、田中からラグジュアリーブランドのパラドックスについて以下の説明があった。デュボア(Dubois, 1998)(Chevalier & Mazzalovo, 2008)は「ラグジュアリーブランドで成功するためには、伝統的なマスマーケティングとまったく逆のことをしなければならない」と述べ、ラグジュアリーブランドの戦略の特徴とは、高価格、高コスト、生産への投資抑制、限定された流通にあり、マスマーケティングとは全く異なる戦略であるとした。そのうえで、パラドックスへの対応として以下の7つの戦略があることを述べた。1)限定顧客戦略、2)低価格アイテム購入の中間層対応戦略、3)サブブランド戦略、4)限定顧客販売戦略、5)非価格訴求戦略、6)限定流通戦略、7)別価格アイテム戦略。
 次に高田氏からレクサスの事例研究報告があった。1989年米国への導入から始まる歴史、2005年の国内導入、レクサス憲章、ブランドイメージ調査などについて報告があり、最後に、1)レクサスには伝統的なラグジュアリーブランドが守ろうとした過日からの栄光は存在しなかったことが新世代の(ベビーブーマー層)の支持につながったこと、2)レクサスを単なる「機能価値のブランド」と評する意見もあるが、過剰とも言える高品質は、単なる機能価値をこえた情緒価値にもなったこと、3)従来の自動車ディーラーのイメージを変えたホスピタリティも貢献し顧客が宣伝してくれる「Customers Tell Story」により市場に広がったこと、などがまとめとして報告された。
 三番目に多久和氏から、ラグジュアリーブランドのマネジメントを手掛けてきた実務家の立場から、ラグジュアリーブランドとは、多くの人がその名を知り、そのすべての人のあこがれであり、限られた人のみ持つことが出来るものであるとの説明があった。ラグジュアリーブランドに求められる4要素として、1)歴史、2)著名人との繋がり、3)品質に繋がるクラフツマンシップ、そして4)ブランドの世界観、が重要であるとの指摘があった。またラグジュアリーブランドといっても財務諸表は重要であること、健全に在庫の回転を行うことが求められること、また常にモダンであり鮮度を保ち続けること、また、需要予測が容易で、在庫リスクを回避しやすいアイコン(比較的低価格な売りやすいアイテム)の重要性、顧客ターゲットのシフト、などがラグジュアリーブランドのパラドックスを克服するために重要である旨が述べられた。
 最後にまとめとして、3名の報告者と参加者との質疑応答が行われた。
 
(文責:田中洋)

 
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