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研究報告会レポート

第2回 エフェクチュエーション研究報告会レポート「経営学・マーケティング論の理論潮流とエフェクチュエーション」

第2回 エフェクチュエーション研究報告会 > 研究会の詳細はこちら
テーマ:「経営学・マーケティング論の理論潮流とエフェクチュエーション」
ゲスト:加護野 忠男 氏(甲南大学 特別客員教授、神戸大学 名誉教授)
 

  1. 講演「エフェクチュエーションといかにつきあうか」
    加護野 忠男 氏(甲南大学 特別客員教授、神戸大学 名誉教授)
  2. 対談「経営学・マーケティング論の理論潮流とエフェクチュエーション」
    加護野 忠男 氏 + 石井 淳蔵 氏(流通科学大学 学長、神戸大学 名誉教授)
    司会進行:栗木 契(神戸大学 教授)

 
日 程:2015年9月13日(日)15:00-17:00
場 所:神戸大学 大阪梅田インテリジェントラボラトリ
 

【報告会レポート】
 エフェクチュエーション研究報告会の第2回は、経営学・マーケティング論の知的伝統のなかに位置づけることで、エフェクチュエーションの理論的可能性について理解を深めるため、日本の経営学・マーケティング研究の第一人者である加護野忠男氏、石井淳蔵氏をゲストにお迎えしました。加護野氏は、「エフェクチュエーション」の監訳をされたこともあり、カーネギーメロン大学のハーバード・サイモン教授の最晩年の弟子でもあるサラスバシー教授による起業家としての熟達、意思決定の理論的側面について、近代組織論や認知科学の観点から議論をいたしました。
 加護野氏による「エフェクチュエーションといかにつきあうか」と題したご講演では、経営戦略論がその戦略のコンテンツ(内容)の研究から戦略策定のプロセスの研究に力点が移りつつある現状を踏まえ、近年、企業家個人の行動や意思決定に関する研究が再評価されている理論的背景を解説いただきました。特に、近年のコーポレート・ガバナンス改革では、エフェクチュエーションと正反対、経営者に合理的側面のみを求めるコーゼーションに偏り過ぎた経営が、短期的利益の追求と、結果的に機会主義的行動に陥っている点について示唆をいただきました。
 その後、石井氏が議論に参加し、エフェクチュエーションについての素朴な疑問点を加護野氏に問いかける対談となりました。石井氏が、著書「マーケティングの神話」「ビジネス・インサイト」で議論を展開した論点と、サラスバシー氏のエフェクチュエーションにおける論点との相違点について、経営戦略論からマーケティング、企業家研究にいたるまで幅広い分野の知見が必要な点、濃密な対談となりました。
 今回の報告会は、エフェクチュエーションの理論書出版の直後ということもあり、会場からも多くの方から、理論的関心や疑問点について質問がなされました。加護野氏、石井氏の軽妙な語り口や議論から、経営学・マーケティング論の知的伝統の薫陶を受け、多くのことを学ぶことができ、きわめて充実した研究報告会となりました。
 
会場の様子 会場の様子
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