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研究報告会レポート

第3回 エフェクチュエーション研究報告会レポート「ロボット・ベンチャーとエフェクチュエーション」

第3回 エフェクチュエーション研究報告会 > 研究会の詳細はこちら
テーマ:「ロボット・ベンチャーとエフェクチュエーション」
ゲスト:松野 文俊 教授(京都大学 工学研究科)
 

  1. イントロダクション「レスキューロボットと産学連携活動」
    松野 文俊 教授(京都大学 工学研究科)
  2. 講演「解体工事現場におけるロボット技術の応用」
    多田 まこと 氏(べステラ株式会社・3D事業部長)
  3. 対談「ロボット・ベンチャーとエフェクチュエーション」
    多田 まこと 氏+松野 文俊 教授(京都大学)+高瀬 進 研究員(京都大学 工学研究科)司会進行:栗木 契 教授(神戸大学 経営学研究科)

 
日 程:2017年2月1日(水)18:30-21:00
場 所:神戸大学 大阪梅田インテリジェントラボラトリ
 

【報告会レポート】
 エフェクチュエーション研究報告会の第3回は、ロボット研究の第一人者である松野文俊氏(京都大学)をお迎えして、共同研究先であるベステラ(株)の事例をご紹介いただきました。本研究会では、エフェクチュエーションの研究成果の応用先としてロボット分野はきわめて有望であることから、経営学研究者が意図的に仕掛けた現在進行形の産学連携プロジェクトの報告となりました。
 1995年、阪神淡路大震災を契機にスタートしたレスキューロボットの研究開発として著明な松野文俊氏をゲストにお迎えしました。松野氏からは、研究遍歴においてシステム制御の理論分野からレスキューロボットの応用分野に転進していった経緯を踏まえ、災害対応ロボット研究プロジェクトがどのような歴史的経緯を辿ったのか、その背景をご紹介いただきました。近年は、東日本大震災における福島原発事故対応を念頭に立ち上がった内閣府の国家プロジェクトImpact「タフロボティクス・プロジェクト」の研究成果を、どのような分野に社会実装をするのか、産学連携や出口戦略を強く求められていることを述べ、まさに、経営学、特に、マーケティング研究者とのコラボレーションが必要不可欠であることを、強調されました。
 多田氏による「解体工事現場におけるロボット技術の応用」と題したご講演では、災害現場に用いられる三次元計測技術を、解体工事現場に応用した事業展開についてのべステラ(株)の事例をご案内いただきました。原子力発電所の廃炉に代表される解体工事の現場は、まさにロボット技術の応用としては最適であり、また、高度成長期に建設された建造物が寿命を迎え、解体工事の案件が増加に対応するにはロボット技術による無人化が欠かせない事情を踏まえ、べステラ(株)・京都大学・山口大学とのロボットに関する共同研究について技術面を含め、詳細に解説をいただきました。
 その後、議論に参加した高瀬から、当時同僚だった泉秀明(山口大学教授)からべステラ(株)案内を受けた際、ビン・ラディンの暗殺等、軍事用途として用いられるSLAM等三次元計測の技術は、日本では災害対策として導入され、いずれ解体工事現場にも転用されることを理解した高瀬から、恩師の松野氏への紹介があった経緯について解説がありました。ロボット技術の最先端は、大学から導入されるため、産学連携は不可欠であるとの理解から、共同研究プロジェクトにつながったプロセスは、ロボット技術の熟達者と事業機会の認識に関するエフェクチュエーションの熟達者との「パートナーシップの構築」と説明することができる点も議論されました。
 今回の報告会は、福島原発事故後のレスキューロボットの研究プロジェクトの成果が、具体的にどのように応用されているのか、そこにエフェクチュエーションの知見がどのように活用できるのか、会場からも多くの方から、理論的関心や疑問点について質問がなされました。熟達研究としてのエフェクチュエーションの理論的可能性のみならず、異分野の熟達者との新結合を創発させるエフェクチュエーションの実践的な側面について、理解を深めていただいた、きわめて充実した研究報告会となりました。

 
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