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研究報告会レポート

第6回スポーツマーケティング研究報告会レポート「スポーツ×アカデミックを考える」

第6回 スポーツマーケティング研究報告会 > 研究会の詳細はこちら
Sport × Academic スポーツ×アカデミックを考える2
早稲田「スポーツMBA Essence」 公開記念セミナー
テーマ:「スポーツ×アカデミックを考える」
日 程:2018年5月28日(月)19:00-20:40
会 場:早稲田大学 大隈記念講堂 大講堂
主 催:早稲田大学スポーツ科学研究センター
共 催:早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター、
    日本マーケティング学会 スポーツマーケティング研究会
協 力:株式会社 電通
 
【セミナーレポート】
 昨年9月に開講した「スポーツ MBA Essence」は本年3月に第一期生34名修了。第一期修了者からその習得した成果を伝えるとともに、改めてスポーツマネジメント教育の必要性について考える場として本セミナーを開催した。
 

1. 公認会計士/一般社団法人アスリートデュアルキャリア推進機構 代表理事、
早稲田大学スポーツMBA Essence第一期生 
奥村 武博 氏
「スポーツMBA Essenceの成果報告1」

 1997年土岐商高からドラフト6位で阪神タイガースに入団。しかし度重なる怪我で2001年に戦力外通告を受け現役引退。
 引退後、飲食業界に足を踏み入れたものの、自分自身の無力さ、人間としての価値のなさを痛感し、初めて自分のキャリアを考えるようになったが、何をしたら良いか分からず、路頭に迷ってしまう。
 そんな時ある知り合いに資格ガイドをもらい、公認会計士という職業に出会う。
 初めは机に長時間向かうことにさえ苦労したが、9年をかけて2013年に合格。
 日本で初めてプロ野球選手から公認会計士になった。
 このような行動の根底には、プロスポーツ選手が引退後に何かを学ぶモデルケースを作りたいという強い気持ちがあった。その思いから、現在は公認会計士とともにアスリートのキャリア形成を構築する事業に携わっている。スポーツビジネスの中核はプレーヤーのパフォーマンスであるが、現役引退後のセカンドキャリアに不安を覚え、プロ選手にならない人たちが近年増えている。そのような人達のキャリア形成の不安を少なくする事が私の仕事である。プロスポーツ選手になる事への抵抗を少しでも軽減させる事ができれば、今後スポーツ業界は益々発展してくのではないかと思っている。   
 アスリートのキャリア形成=スポーツの未来 である。 
 日本で2大プロスポーツと呼ばれているプロ野球とJリーグの中で、約5割の選手が高校卒業後すぐにプロの世界に飛び込んでいる。必然的に彼らは学問と向き合う時間が少なく、引退後のキャリアに少なからず影響を及ぼすと考えている。一方でスポーツを通して学ぶ、“課題を見つけて解決する”というプロセスは必ずビジネスの世界でも通ずるものがあり、それはスポーツ選手の強みである。「スポーツMBA Essence」はスポーツを通して学んだことをベースに、アカデミックな観点でスポーツを学ぶ事ができる場である。また、知識の習得だけでなく、今まで関わった事のないフィールドの人々との出会いがあるのも大きな特徴である。
 そのような経験を得て、スポーツ業界で重宝される人材となり、より広く、より深くスポーツに関わる事ができる。
 

2. 毎日新聞社オリンピック・パラリンピック室 主任、早稲田大学スポーツMBA Essence第一期生 
鈴木 大介 氏
「スポーツMBA Essenceの成果報告2」

 1999年毎日新聞社に入社。入社以来、主に新聞広告の営業を担当。2016年、毎日新聞社の東京2020オリンピック・パラリンピックのオフィシャルパートナー契約締結に伴い、オリンピック・パラリンピック室に着任。今までとは全く別の立場の業務となり、着任当初は何から手をつければいいか分からなかった。会社もまた、知識がなかった。その時に出会ったのが本プロフラムだった。これまで広告の目的はいかに露出を最大化させられるかという事だと思っていたが、本プログラムを通し、どうすればファンを感動させられるのかというアクティベーション構築の重要性を学ぶ事ができた。その経験を基に、全IOC加盟国の国旗を本社ビルにドレッシングするオリンピック1000日前イベントを実施した。その結果、毎日新聞社の東京2020オリンピック・パラリンピック協賛認知が飛躍的に上がった。また、平昌オリンピックの視察へ行った際も本プログラムで得た経験があったからこそ、多角的に各スポンサーのアクティベーションをとらえる事ができたと感じている。2020年に向け、本プログラムを通して学んだ事を活かし、オリンピック・パラリンピックの価値向上、そしてオリンピック・パラリンピックを通して毎日新聞社の存在が一人でも多くの人に刻まれるようなアクティベーションを構築していきたい。
 

3. なでしこリーグ ニッパツ横浜FCシーガルズ所属
大滝 麻未 氏
「The FIFA MASTERとキャリアデザイン」

 早稲田大学を卒業後、フランス一部リーグに所属するオリンピック・リヨンに加入したが、25歳の時に一度目の引退を決意する。漠然と“女子サッカー界に貢献したい”という思いが強かったが自分にはプレーヤーとしての能力しかなく、勉強が足りないという思いからFIFAマスター取得を決意。プログラムは1年をかけて3か国を回り、スポーツの歴史、スポーツマネジメント、スポーツに関する法律を中心に学んでいく。同期は30人おり、述べ23か国から様々なバックグラウンドを持った人たちが集まる超個性派集団であった。1年という短い期間ではあったが、知識的に多くの事を学べた事、そして多くの人と出会えた事が自分の価値観を大きく変えてくれた。
 またそれらはアスリートが持つ社会的価値を知らせてくれるものであった。
 FIFAマスター取得後、現役復帰をし、2020年オリンピック日本代表を目指している。一方で、今後はFIFAマスターでの経験を活かし、ビジネス・事業活動そして社会貢献活動へも積極的に参加をしたいと思っている。“女子サッカー界に貢献したい”という以前からの思いが、“女子サッカーを通じて、社会の問題を解決したい”という具体的なものに変わった。その思いが最終的に女子サッカー界の盛り上がりに繋がると思っている。
 私にとってキャリアとは「学び続けること」。
 現状に満足せず、常に刺激を求めながらこれからもキャリアを形成していきたい。
 

4. 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター所長、大学院経営管理研究科教授、日本ベンチャー学会理事
長谷川 博和 氏

 2020年に向けてスポーツ産業は規模を拡大している。一方で、2020東京オリンピック・パラリンピックが終着点ではなく、2030年、2040年にスポーツ産業をどう広げてくのかが今後の課題である。内閣府が掲げる“2025年に15兆円のスポーツ市場規模”を実現する為への3つの主な施策は
1、 アリーナ改革、
2、 スポーツコンテンツホルダーの経営力の強化、新ビジネス創出の推進
3、 スポーツ分野の産業競争力強化。⇒他産業との融合
である。
 現在の1つのスポーツ産業の問題点は、元々スポーツに関わっていた人が中心となっている事である。これからスポーツ産業を更に大きくしていく為には、全くスポーツに関わっていなかった人達がスポーツ産業にもっと入り込み、イノベーションを起こしていく必要があるかもしれない。
 一方で、イノベーションの権威であるクリステンセン教授らが共著書の中で結論付けたイノベーターが優れている5つの発見力(①関連付ける力②質問力③観察力④実験力⑤人脈力)をスポーツ選手が身に着ける事ができればビジネスの世界でも十分に活躍することができる。それらの能力を身に着ける事ができるのが本プログラムである。世界のスポーツマネジメント大学院のランキングはオハイオ大学が圧倒的な地位を確立しているが、今後は早稲田もそこに食い込んでいきたい。
 中期的、長期的にスポーツ産業の裾野を広げるために、今後も尽力していきたい。
 

5. 早稲田大学スポーツ科学学術院教授
原田 宗彦 氏

 スポーツMBA Essence(以下SMBAE)は日本初となる、スポーツ×ビジネススクールの連携カリキュラムである。
 ノンディグリーである為、学位プログラムに比べて自由度が高いのが一つの大きな特徴になっている。
 SMBAEはグループ学習とアフタースクールの時間を重視し、週1回という決して多くない交流の機会を通じて人脈を形成し、対話の中からイノベーションの機会を増やしていってほしい。本プログラムが対象とする受講生のイメージは①ビジネスパーソン②スポーツパーソン③高齢化と人口減に直面する自治体関係者である。
 第1期生は様々なバックグラウンドを持った34名が本プログラムを受講し、2018年3月に修了した。

 
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