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研究報告会レポート

第5回インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会レポート「インダストリー・イノベーション」時代のマーケティング・コミュニケーション

第5回 インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会(大阪リサプロ祭り) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:「インダストリー・イノベーション」時代のマーケティング・コミュニケーション
日 程:2018年8年25日 14:45-16:15
場 所:関西学院大学梅田キャンパス
 
【報告会レポート】
 デジタルテクノロジー(IoT、AIなど)により、従来の産業や業態を超えてのイノベーションが連鎖し、新しい事業システムが生成されることを「インダストリー・イノベーション」というキーワードから捉え、その概念を介して新しいブランディングの可能性を論議していくことを目的としています。第5回研究報告会は、以下のような事例報告を基調として発表し、考察を深めることを目的に行われました。
 

1. 自動車産業の破壊的イノベーションからブランディングを考える
森 一彦(関西学院大学専門職大学院 経営戦略研究科 教授)

 2016年、ダイムラーが提唱した“CASE”という概念とともに、世界の自動車に関わる産業の動向では、従来の産業や業態を超えてのイノベーションが連鎖し、新しい事業システムが生成される様相が次々と展開されている。それらは、既存の自動車産業とテック企業の競合であり、AI, IoTなど今日のテクノロジー、サービス・プラットフォームなどを巡り様々なアライアンスと競争が入り混じって展開されている。国の競争力をも左右する自動車業界や Maasのあり方を、トヨタのe-Paletteなど、以下のような企業の構想や事例を通じて辿った。
はじめにー問題意識=第4次産業革命、デジタルトランスフォーメーション

  1. トヨタ自動車 豊田章男社長=e-Palet=モビリティ・サービスへの展開
  2. ダイムラーAG取締役会長ディーター・ツェッツェ=CASE-次世代の自動車を再定義
  3. VWグループのマティアス・ミュラーCEO=史上最大の変化を伴う改革
  4. テスラ ーCEO イーロン・マスク=エネルギーから世界のグランドデザインを描く
  5. エヌビディア ジェンスン・ファンCEO=自動運転、AIの学習と推論に必要なGPU
  6. グーグル、サンダー・ピチャイCEO=モバイル・ファーストからAIファーストへ
  7. Uber CEO-ダラ・コスロシャヒ=所有からシェアへ、
  8. リフトCEO ローガン・グリーン=都市デザインから変革する
  9. GMのCEO メアリー・バーラ=GMの再生2019年に無人運転(自動運転)の量産化実現
  10. フォードCEO ジェームス・ハケット=破壊的改革によるビジネスの一新
  11. バイドゥCEO ロビン・リー=自動車強国、中国への展開
  12. まとめ=インダストリー・イノベーションの様相とブランディングへの変化について

 

2. IoT/AI導入で加速する企業の「なりわい」革新
朝岡 崇史(株式会社ディライトデザイン 代表取締役)

 なりわいとは、企業の生業、すなわち業態のことであり、IoTやAI導入でマーケットにゲームチェンジの嵐が吹き荒れる中で、多くの企業が生き残りのために「なりわい」の革新を行っている。あらゆる、インダストリーにとって「データ」が新時代の「石油」の役割を担いつつある今、企業の「なりわい」は「モノやサービスの売り切り」から「お客さまの近未来の体験の予測と改善提案」を根源とする、サブスクリプション型のメタサービス業へと変化を余儀なくされていくだろう。今回の講演では、ユニクロと大和ハウスの事例を取り上げ、企業での「なりわい」定義の具体的手法にまで、議論を拡張して、今起こりつつあるディスラプションの本質について考察した。
 
【報告会を終えて】
 インダストリー・イノベーションの様相について、エコシステム、サービス・プラットフォーム、サブスクリプションビジネスなどかなり、様々な視点から明らかすることができてきた。今回は、事業価値を巡って「なりわい」という特有のキーワード=切り口からのアプローチも提示された。その中で、次第にブランディングとして新しい展開や組み立ても見えつつある。既にプラットフォーム・ビジネスなど多くの破壊的イノベーションに関する文献が出てはいるが、さらに様々な産業、業界、企業の事例を介してイノベーションの様相をさらに辿るとともに、段階的にブランディングにひきつけた構造や特性を整理し、それ以外の領域にも視野をひろげながら議論を移していきたいと考える。
 
(プロジェクトリーダー 森一彦)

 
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