第6回マーケティング・ツールとしての知的財産研究会レポート「内閣府が普及啓発を行うビジネス・ツール「経営デザインシート」とその活用法」 |
第6回 マーケティング・ツールとしての知的財産研究報告会 > 研究会の詳細はこちら
テーマ:「内閣府が普及啓発を行うビジネス・ツール「経営デザインシート」とその活用法」
報告者:内閣府・知的財産戦略推進事務局・参事官(産業競争力強化担当)仁科 雅弘 氏
日 程:2019年 6月11日(火)19:00-20:30
場 所:東京都港区・KIT虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院)虎ノ門キャンパス
【報告会レポート】
第6回の研究報告会では、内閣府・知的財産戦略推進事務局・参事官(産業競争力強化担当)の仁科 雅弘 氏から、「内閣府が普及啓発を行うビジネス・ツール「経営デザインシート」とその活用法」というテーマでご発表頂きました。
まず、本ツールが日刊工業新聞、フジサンケイビジネスアイ、日本経済新聞等の新聞を始め、日経クロストレンド、日経デザイン等の雑誌でも取り上げられている状況についてご説明を頂きました。
次に、経済的な環境変化として、冷戦崩壊による軍事技術等のリソースが民間に開放されたことによる供給力のブレイクスルーによって21世紀が新技術・新製品であっても選ばれないと売れない状況になり、同時に有形資産よりもブランドやデザイン等の無形資産が価値の源泉となったことにより、ニーズやウォンツに訴求できる価値を生み出す仕組みを構想する、すなわち「経営をデザインする」ことが重要であることについてご説明頂きました。
そして、企業が、環境を理解し、資源を確保し、それらを組み合わせ、ユーザの求める価値を創出し、提供する一連の仕組み(価値創造のメカニズム)であることを前提とし、経営デザインシートが、一言でいえば、事業を構想するための思考補助ツール(フレームワーク)であり、詳しく言えば、環境変化に耐え抜き持続的成長をするために、(A)自社や事業の存在意義を意識した上で、(B)自社の「これまで」を把握し、(C)長期的な視点で「これから」のありたい姿を構想し、(D)それに向けて今から戦略を策定するものである点をご説明頂きました。
順番としては、先に将来に提供したい価値を構想し、そこからバックキャストする方が新しいことを考えやすい点、また、本シートの特徴として、1枚で全体を俯瞰でき、時間軸を意識できる点、想いを記載できる点、一枚とスペースが限られているため、大切なことしか書けない点等をご説明頂きました。
また、特に今後は取締役会での活用を期待しており、経営企画と知財部などいろいろな部署と連携しないと書けない点がむしろメリットである点等をご説明頂きました。
最後に、活用を通じて得られた意見の例や実際の活用例に加え、牧場経営の具体例でお試し事例までご説明頂きました。
【報告会を終えて】
今回の御発表を聞いて自身も大変得るところが大きかったと思います。特に、ビジネスモデルキャンバスなどの既存のツールと比較しても各段に使いやすくて分かりやすいため、本ツールは今後ますます普及するのではないかと感じました。多数の方々にお集まり頂き、多数の質疑応答があり、最後の拍手の多さもさることながら、発表者との名刺交換を求める列が長い時間途絶えなかったこと、そして名刺交換した方々の口から会社に帰ってさっそく実践したい、という声を多数聞けたことからもその価値が聴衆の方にも伝わったものと推察します。
引き続き、本リサーチプロジェクトを続けて行きたいと考えております。
(報告者:プロジェクトリーダー 杉光 一成)