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研究報告会レポート

第21回地域活性化マーケティング研究報告会レポート「『民藝』による地域活性化」

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テーマ:「民藝」による地域活性化
報告者:内海 里香 氏(文化ファッション大学院大学 教授)
日 程:2021年2月27日(土)14:00-16:00
場 所:Zoom使用によるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 今回は、当研究会の企画運営メンバーでのひとりである内海里香氏からの研究報告でした。内海氏は、日本民藝協会会員でもあり、全国各地の民藝運動について現地調査を重ね、民藝創作の側面に限らず、民藝運動に共感してその推進役になっている地域の人々や、民藝を支援・協賛する企業の取り組みなどに着目し研究してこられました。
今回の研究報告では、「民藝」の代表的な展開地域である盛岡、鳥取、出雲、倉敷、伊予西条を研究対象とし、それらの現地調査を通じて明らかになった民藝の現況と、展開の共通点及び差異点(なぜこの街では民藝が浸透し、一方でこの街では広がらないのか)などが報告されました。また企業に関しては、「民藝」展の開催に取り組む髙島屋、パナソニック、アサヒビールなどの事例と、民藝の継承・人材育成の可能性などが報告されました。
 

  • 民藝の定義と普及-柳宗悦をはじめ、河井寛次郎、濱田庄司、バーナード・リーチなどによって、そのテイストが感性的に定義され、そのメンバーが全国各地に赴き地域の創作物を着眼し発掘するとともに、創作者への啓蒙や・技術伝授・指導にも尽力し、地域活性化の「運動」として広まったと解せられる。(その運動を継承する人材育成が継続したり、その創作物や活動に共感する人々が地域に多く存在することが重要である)
  • 地域の民藝には、その地域特性・生活特性を反映した代表的な(象徴的な)モノが確実に存在する。(盛岡-南部鉄器・ホームスパン、倉敷-ノッティング、伊予西条-伊予絣など)
  • 新作民藝-民藝は伝統工芸の側面もあるが、現代の生活用途・デザイン感性に合わせた「新作」が次々と生み出されている事例が多い。(鳥取-緑と黒の染色皿、出雲-出西窯など)
  • 街への広がり-創作工房・展示ギャラリー・物販・飲食での展開、民藝調の空間設計・建築からの拠点広がりで地域活性化へ(盛岡、鳥取、倉敷など)
  • 髙島屋・アサヒビールなど長年民藝を支援する企業があり、また近年SDGsの観点からも民藝を支援する企業も増えてきており、民藝による地域活性化が新しい局面にきている。

 
 なお、内海里香(2021)「民藝による地域活性化」(宮副謙司編著『企業経営と地域活性化』第5章補章所収)もぜひお読みください。
 
【報告会を終えて】
 「民藝」を創作する人材の育成と、それに共感する感度の高い人々(民藝創作物のテイストに共感し、それを生活に取り入れ日常を活性化しようとするマインド)の育成がとても重要になり、その程度によって、民藝の活性化する街とそうでない街との差が生じているとの事例からの分析は、とても納得できました。また、最近では、ビームスやアーバンリサーチなどのセレクトショップや無印良品などの大手企業も民藝の発想で地域デザイン品に着眼しマーチャンダイジングしており、新たな民藝の市場拡大・成長ともいえるのではないでしょうか。
 当研究会として初めてのオンライン開催で、九州や東北からの参加者もあり、大変充実した研究会となりました。地域活性化をテーマとする研究会として、2019年度には、地方にいる発表者を東京の会場と結ぶオンライン開催は先駆けて試みましたが、2020年度の大学での様々なオンライン手法の経験を経て、2021年度の研究会は、発表者も受講者も地方、リアルでもオンラインでも参加できるようなハイブリッド型運営などさらに様々な形式での研究会運営の意欲がわいてきました。
 
オンラインでの開催風景
オンラインでの開催風景
 
(プロジェクトリーダー:宮副謙司)

 
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