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研究報告会レポート

第9回インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会レポート「インダストリーイノベーションと企業パーパスについて」

#いまマーケティングができること

第9回 インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:インダストリーイノベーションと企業パーパスについて
講演者:朝岡 崇史(株式会社ディライトデザイン 代表取締役)
    森門 教尊(株式会社博報堂コンサルティング パートナー)
日 程:2021年2月17日(水)
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 デジタル・テクノロジーの革新はリアルな世界を包摂する巨大なデジタル空間と融合し、今までにない産業や業態(プラットフォーム)を大きな社会でのエコシステムとして生み出しつつあり、私たちはこうした動きをインダストリー・イノベーションとして捉えようとしてきました。今回は、インダストリー・イノベーションを背景として、企業とそのパーパス(存在意義・目的)について実際の事業の現場に取り組む2人の方から報告をいただきました。
 
第1報告:「DX時代における企業の<なりわい>変革」
株式会社ディライトデザイン 代表 朝岡 崇史

 DX時代、ブランディングは「認知系システム」から「活動系システム」へ。今回の「第9回インダストリ・イノベーション時代のブランディング研究報告会」では、日本企業の「なりわい」変革という視点からDX時代のブランディングの役割の変化について発表させていただいた。プレゼンテーションさせていただいた内容は、以下の3点である。

  • <なりわい>とは企業の基幹事業ドメインに企業風土や価値観などブランドが持つ精神性を加えた新しい概念である。
  • DX時代、外部環境の変化や新規のビジネスモデル誕生などのゲームチェンジが起きており、企業は<なりわい>革新をしないと生き残りが難しい。
  • <なりわい>革新は業種や企業規模に関係なく求められる。そしてその原因 / 背景や<なりわい>遷移の仕方(イノベーション・ストリーム)はパターン化できる。

 欧米のイノベーション理論にはティースの『ダイナミック・ケイパビリティ理論』、オライリーらの『両利きの経営理論』、クリステンセンらの『ジョブ理論』などが知られているが、いずれもリーダーシップ論(組織論)やデザイン思考などから切り込んだ開発途上の理論であり、ブランド基軸で十分な分析や考察がなされているとは言い難い。日本企業の<なりわい>革新について知見を深めることで、企業のイノベーション活動に新たな視点を提供できれば幸いである。
 
第2報告:「パーパス視点でのブランディング― 企業コンサルティングの現場から ―」
株式会社博報堂コンサルティング パートナー 森門 教尊

 新型コロナウイルス感染症の蔓延下で、企業の経営を取り巻く環境にも多大な影響が及んでいる。「第9回インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会」では、コンサルティング実務現場の観点から、With/Afterコロナ下での企業のブランディングにおける現在地点と変化の見通しについて発表させていただいた。発表内容は以下のように要約される。

  • 現在はWithコロナ渦中にある中で、多くの企業は足元に注視しながらも、未来志向で自社を再点検する時機に差し掛かっている(コロナ対応で結果的に生じたリードタイムを使って、生活者や市場・業界慣習の変化を捉えつつ、未来の自社のありようを見つめ直す企業が出始めている)
  • 上記運動におけるキーワードになっているものが「自社の存在意義≒パーパス」である。多くの企業は中期計画の再考からマーケティング戦略までの広汎なテーマ設定※に対して、「パーパス」の観点を組み込みながら取り組みを進めていることが、2020年の活動を通して明らかになった。
    ※中期経営計画策定/企業グループ再編/プラットフォーム構築など、パーパス応用範囲は広い
  • 「パーパス」を起点にブランディングするということは、企業にとって顕在の課題に対応するのではなく、各社が見立てる環境認識の下に、社会課題を自ら創造するアプローチを図ることになる。すなわち、従来的なブランド提供価値規定の工程に対して、社会課題発見および企業WILL(どのような未来像を選び取るかというプロセスを組み込むこととなる。

 パーパスを前提に据える中、ブランディングに社会課題を組み込むアプローチは未だ検討途上にある。また、ブランド伝達方法においても従来は起承転結の整ったストーリーを要していたが、今後はパーパスを共有する個を包摂したナラティブなコミュニケーションを模索していくことになると考えられる。今回の発表を通じて、企業のブランディングにおける新たな方法論を考察する一助になれば望外の幸いである。
 
(文責:第1報告朝岡 崇史、第2報告:森門 教尊)

 
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