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研究報告会レポート

第4回宇宙航空マーケティング研究報告会レポート「SDGs×宇宙開発のマーケティング」

#いまマーケティングができること

第4回宇宙航空マーケティング研究報告会(春のリサプロ祭り・オンライン) > 研究会の詳細はこちら

テーマ:SDGs×宇宙開発のマーケティング
日 程:2021年3月13日(土)16:30-18:00
場 所:Zoomによるオンライン開催

 

【報告会レポート】
 研究プロジェクトリーダーの湊宣明(立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科教授)より、宇宙航空マーケティング研究会のこれまでの活動概要について報告しました。
 本研究会は、研究蓄積が少ない宇宙航空領域のマーケティング研究に挑み、共著での学会発表・論文出版を目指す学術研究と、活動報告・ディスカッションを中心に行う実践研究とを両輪として進めていきます。学術界・産業界から広くメンバーを募集し、メンバーの興味・関心に基づく研究テーマ提案を歓迎します。
 第4回研究報告会では、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, 以下SDGs)と宇宙の関わりに焦点を当て、宇宙分野においてマーケティングはどのような価値を創造できるかについて、二人の実務家を講師に迎えて議論を行いました。SDGsに関連した研究テーマは今後も宇宙航空マーケティング研究会として取り組みます。興味のある方はぜひ研究会への参加を検討ください。
 
SDGsが拓く宇宙ビジネス-宇宙開発の人類にとっての意義を考える-
黒須 聡(横河電機株式会社 宇宙ビジネス・デベロップメント・エクゼクティブ兼チーフ・サステナビリティ・オフィサー)

 「誰も置き去りにしない」をキーワードに、人類共通の目標として国連が掲げたSDGsは、企業が本業のビジネスとして、株主だけでなく、社会を含めた複数のステークホルダーのために課題を解決することが求められている。これは日本企業が本来持っていた、例えば近江商人の「三方よし」に通じるものがあり、マーケティング的に日本を差別化する要素となる。宇宙については、既に多くのそこで生まれた技術がSDGsに貢献している。国際宇宙大学Interactive Space Program 2020の講義から、災害防止、資源循環、遠隔医療、農業支援等の例を紹介した。さらに今後は、空気、水、食料、電力を始め、全てのハビタブル(生活、経済)資源が極めて限られる宇宙の極限環境で生まれる、地産地消型省資源技術、完全リサイクル技術を含むサーキュラー・エコノミ―等が、地球環境改善等、地球上の課題解決にも貢献する。また、アポロ8号の「地球の出」が人類の視座を大きく変えたように、宇宙視点で地球を見る、いわゆる概観効果(Overview Effect)による地球市民/環境意識の育成が重要で、ここにマーケティングの貢献が期待される。
 

 
宇宙×SDGsを拡大するためのマーケティング活動の実践
荒井 誠(宙ツーリズム推進協議会 理事・事務局長)

 「宇宙マーケティング」は2015年のマーケティング学会のカンファレンスで発表し、研究をスタートさせた。宇宙(開発自身)のマーケティング(Marketing of Space)と宇宙によるマーケティング(Marketing through Space)の二つに分けられる。これはスポーツマーケティングと同様の構造である。(2019年に「宇宙航空マーケティング研究会」として本格的活動に入った)
 黒須氏の発表にあった、宇宙開発がもたらす技術革新をSDGs達成に貢献させる活動は、前者のマーケティングと言える。荒井の発表では、後者の宇宙を活用したマーケティングによるSDGs達成への取組の4つの可能性について取り上げた。国際協調と象徴と評価できるISSの活用、“宇宙からの視座”による多様性尊重、宇宙×SDGsの取組を子供たちにも楽しく知らせることで多くの人たちのSDGsへの関心を啓発、SDGsのその先までを想定したビジョン提示、である。SDGsには物質的な側面と精神的な側面があるが、両面において宇宙開発が創出するイノベーションと、宇宙視点が示唆するスピリットにより、SDGs達成へ貢献できるマーケティングであると考える。
 

 
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