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研究報告会レポート

第6回AI研究報告会レポート「AIを駆使したDX ~エッジAI、モビリティの新サービス~」

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テーマ:「AIを駆使したDX ~エッジAI、モビリティの新サービス~」
報告者:大川 泰蔵 氏(株式会社JVCケンウッドDXビジネス事業部 フェロー)
    小野寺 毅 氏( 株式会社JVCケンウッド DXビジネス事業部技術部データサービス開発G 主任)
日 程:2021年3月23日(火)19:00-20:30
場 所:Zoom使用によるオンライン開催

 
【報告者プロフィール】
大川 泰蔵 氏
株式会社JVCケンウッドDXビジネス事業部 フェロー
 大阪大学大学院工学研究科修了後、NTTに入社。神戸大学社会人MBAコース修了後に、GCAサヴィアン、産業再生機構、産業革新機構を経て、現職。M&A、事業再生や企業の変革に、長年従事している。
 
小野寺 毅 氏
株式会社JVCケンウッド DXビジネス事業部技術部データサービス開発G 主任
 日本ビクターに入社後、球体型ロボット2足歩行ロボットの開発、ベンチャー企業に出向し自動運転車の開発、カーナビ開発のミドルウェア担当を経て、現職。AI等の技術開発を担う。
 

【報告会レポート】
 AI研究会は、AI(人工知能)技術の進展に伴うマーケティング研究の論点及び実践的示唆の導出を目的としています。本研究会は、研究報告会(ワークショップ)を開催し、企業実践や関連する理論の理解を深めつつ、企画運営メンバーや参加者と一緒に議論しながら進めています。
 今回は、AIを駆使したJVCケンウッド社のDX事例について報告いただきました。日系の老舗メーカーであるJVCケンウッド社は、国内及び海外市場で、新たなサービスビジネスにチャレンジしています。2016年にわずか4名で検討に着手した新規事業開発において、テレマティクス分野に焦点を定めることとし、AI等を駆使した自動車保険サービス、インドネシアのGrab社とのオートモティブサービスを提供するなど、数年間で100億円超の事業規模に成長し、黒字化を達成しています。
 同社のDX事業は、様々な発展性を秘めているように思われました。同社が培ってきたカーエレトロニクスや映像等の技術資産に加えて、DX事業におけるオープンイノベーションの取り組みによるAIやIoTといったデジタル技術が活用され、自動車保険やライドシェアで培ったテレマティクス技術の高度化が進んでいます。特にエッジAIとして、AIを搭載したデバイス(ドライブレコーダー等)やサーバー側のビッグデータやモデルが蓄積されてきています。
 また同社が進める高度運転支援プロジェクトは、拡大するMobility as a service市場における先例です。既に商用化されたサービスは、前方衝突や車線逸脱といった運転手へ注意喚起を行うものですが、さらに高度化させて、ドライバーの運転特性を評価する運転サポート技術を開発しています。例えば、ドライバーの視線の動きを捉えて信号機の確認の程度を測る確認行動分析や道路交通法の遵守の程度を分析するといったしくみです。実際に、自動車教習所と連携して、模範運転の教師データとなるビッグデータに基づき模範運転モデルの生成を行い、運転技能を評価し、より安全な運転をサポートや自動車保険料の根拠とする技術の開発に取り組んでいます。
 今後、オートモーティブ分野に限らず、映像技術や通信技術を活用して、サービスの開発環境や実行環境を提供するプラットフォームを展開することも視野に入っているとのことで、開発・蓄積してきた無形・有形の資産を効果的に多重利用する戦略的な企業実践の理解が進みました。
 

 
(文責:依田 祐一)

 
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