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研究報告会レポート

第11回インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会レポート「イノベーションの加速からのビジネス・シフトとブランディング」

#いまマーケティングができること

第11回インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会(春のリサプロ祭り・オンライン)
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テーマ:イノベーションの加速からのビジネス・シフトとブランディング
日 程:2022年3月19日(土)14:45-16:15
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
森 一彦(京都先端科学大学 国際学術研究院 教授)

 最初に、本研究会での以下のような問題意識が共有され、それを受けて2人の発表者からビジネス・シフトを具体的に辿りながら発表いただいた。
 一般的には、ブランディングは規模/製造業を中心としたブランド・モデルが中心であり、
そこでの最大公約数的な視点は、顧客認知によるロイヤリティ形成をベースとして強いブランド力を構築することで戦略優位を持つ点に集約される。しかし、今、インダストリーイノベーション時代(産業のエコシステムごとイノベーションが連鎖する時代)で、産業が経済を変え、企業のあり方を変える中で、企業が変革を実現するためのブランド力とは何か?(何が資源となるのか?/行動する方向(パーパス)とは?/起業への組織とは?)が求められ、そこでは認知系をベースとするブランディングをベースとしながらも、活動系をベースとする変革をもたらすブランディングを融合する様相の探究が望まれる。
 今回は、1)CESというテクノロジーからのイノベーション、2)コロナ禍での交通産業依存からのシフト、いずれも、自分たちの事業をどう再規定し、どのように方向づけていくのか、という視点から具体的事例を踏まえた事業展開について発表いただいた。
(文責:森 一彦)
 
1. CESに見るイノベーションとなりわいの革新
朝岡 崇史(株式会社ディライトデザイン 代表取締役 / 法政大学大学院 客員教授)

 デジタル時代に入ってブランディングの役割は「認知系システム」を支えるものから企業経営の「活動系システム」(事業戦略とその背景にある組織戦略)を支えるものへと大きくシフトしている。今回の発表では、プレゼンターの朝岡がここ数年来、米ラスベガスへ出向き定点観測を行なっているCES(世界最大規模の民生技術のイベント)の動向に着目し、企業のイノベーションと「なりわい」革新の関係、並びにブランディングの役割の変化について報告を行なった。
 報告のアウトラインは以下の通り。
・2015年くらいから本格的なデータの時代に突入すると、エヌビディアやアンダーアーマーのように「事業成長への野心」に燃えた新興の企業が、ブランディングの活動とは無関係に「なりわい」革新を宣言した。
・2018年には成熟企業のトヨタが「なりわい」革新を行なった。トヨタは「なりわい」革新の歴史的必然性をアピール、「モビリティ・カンパニー」業への実現を見据えてブランド価値体系(フィロソフィコーン)と戦略ロードマップ策定も行った。
・2020年代に入るとテック業界のリーダー企業を含む多くの企業で環境問題や社会課題が強く意識されるようになった。CES 2022においては基調講演や記者会見でミッションやパーパスを拠り所(WHY)にして「なりわい」革新をアピールしたGM、アボット、ジョンディアのような伝統ある成熟企業が注目を浴びた。
(文責:朝岡 崇史)
 

 
2. JR西日本イノベーションズの新しいビジネス構築への展開
奥野 誠(JR西日本イノベーションズ 代表取締役社長)

 JR西日本イノベーションズはJR西日本グループのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)として、2016年12月設立、グループと外部スタートアップ等とのオープンイノベーションのつなぎ役として活動してきた。鉄道事業を始めとして、旅行業や流通業、ショッピングセンター事業、不動産業、広告業などの戦略推進・課題解決に向けて、例えばデータ分析、ドローンやAIの活用、サブスクリプションでの宿泊サービスを提供する事業者との連携、新たな資本スキームにより地元事業者との観光推進やインバウンド誘客等をプロデュースしてきた。
 しかしコロナ禍により、JR西日本グループは収益が激減、戦略の大幅な見直しが必要となり、JR西日本イノベーションズにおいてもCVCと合わせて新規事業創出のミッションが課せられ、2021年度より体制を拡充し、活動してきた。
 JR西日本グループ内で生じたパラダイムシフトとして、従来鉄道事業が担ってきた「人の移動」を担うという社会的役割から、鉄道利用者一人一人の移動理由や費用負担者にもフォーカスし、「個の発想」で戦略の見直しを迫られた。JR西日本イノベーションズとしても外部のネットワークと資本を活用した戦略オプション等も生かしながら、見直し後の戦略を推進するために取り組んでいる。
 現在では、「両利きの経営」を意識しつつ、デジタルをフル活用し、顧客一人一人とのつながりを大切にしながら、既存顧客に対するクロスセルや既存アセットの新たな活用による事業展開を推進している。
(文責:奥野 誠)
 

 
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