2013 年 33 巻 2 号 p. 35-48
「マス・カスタマイゼーション」は,価格を個々の顧客が持つ細かなニーズを満たすことのできる画期的な生産システムとして注目されているが,実は,既存のマスプロ製品を基礎にした顕在ニーズに応えるにすぎないのが実情である。それに対して,「マス・プロダクション」は,顧客の思いつく範囲を超えた画期的な製品を提案することを通じて無限の潜在ニーズを満たす潜在性を持つ。そこで,この2つを「反応型市場志向」および「先行型市場志向」という2種類の市場志向に対応した生産システムと見なした上で,本論は,顧客が既存製品のカスタム製品版と革新的マスプロ製品の市場魅力度が,2種類の市場志向を規定すると主張する。