本稿では,消費者視点から捉えた業態認識に関する概念モデルを提唱する。消費者情報処理研究に基づき,消費者のもつ認知表象として業態を捉えたうえで,その認知表象を構成するメカニズムとして,既存研究で言及されてきた業態の「原型なるもの」に焦点を当て,業態認識に関する抽象的な概念と具体的な実像という抽象関係の構図に着目する。次に,消費者による業態認識の情報処理をトップダウン型とボトムアップ型に識別したうえで,カテゴリー化研究における典型性に基づくカテゴリー構造に示される典型事例としてのプロトタイプとエグゼンプラーの役割の重要性を踏まえ,新たな概念としてエグゼタイプを導入する。そして,これらの典型事例を基にした業態の認知分布を仮定することにより,業態間の連続性と業態間変動,業態における中心性,そして業態内変動と業態間変動についての説明が可能になるのである。