マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
論文
マーケティング洞視眼
─ 事業定義の論理学的手法 ─
西村 友幸
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2014 年 33 巻 4 号 p. 75-90

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抄録

事業定義という重要かつ困難な決定を行うためには,近視眼でもなく遠視眼でもない第三の眼が必要である。本稿は,従来の議論のように「事業」という言葉を掘り下げる代わりに,「定義」という言葉を探索する。論理学において,定義とはある概念の本質的属性(内包)を明瞭にする手続である。何種類かの定義の手続の中から,アリストテレスが考案した「類と種差とによる定義」に着目し,これを事業定義の新手法に応用する。新手法は,「類への昇段」と「種差の発見」という2つの主要なステップを持つ。類への昇段とは,定義されるべき事業Xを包摂する上位概念Yを探し当てることである。種差の発見とは,Yに包摂される他のさまざまな概念(事業)との比較において,Xに固有の特徴すなわち種差Zを見つけることである。Xの本質的属性は,以上のステップで得られた洞察を結合して,Z+Yのかたちで明瞭化できる。例証のために,旭山動物園の事例が用いられる。

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© 2014 The Author(s).
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