2014 年 34 巻 1 号 p. 35-53
本論文では社会的課題とマーケティング成果を結びつける戦略的ソーシャル・マーケティングを,企業が行うソーシャル・ビジネスの一形態と位置づけ,その中でも近年マーケティング・コミュニケーションの実務において注目を集めているSocial Goodをテーマとするキャンペーンの成果に影響を及ぼす要因について検討する。具体的には,Social Goodキャンペーンにポジティブに反応する動因を社会的交換概念に基づいて識別し,その動因を促す条件に関する仮説を設定し,2つの調査によって検証する。調査とその結果の分析・考察において,消費者の原因帰属,被視感(人に見られているという知覚),公的・私的自意識といった要因のキャンペーンの反応への影響を検討する。