2014 年 34 巻 1 号 p. 54-72
ソーシャルビジネスへマーケティングを適用する可能性を探るため,災害時のニーズ発見,および,発見したニーズへの対応がいかに可能かについて,東日本大震災発災直後の企業による情報支援を事例として探索的研究を行った。災害を状況変化が激しい場合の典型例と見なした上で,未来の予測が困難な状況で有効とされる測定対応アプローチがどのように機能し,どのような条件で有効に働くかを調べた。その結果,(1)潜在的なニーズではなく顕在化しているニーズを知ることに重要性があること,(2)利用者の行動を効率化する支援が効果を発揮すること,(3)測定対応アプローチを成功させるための個としてのスキルはリーダーシップに対応することが見出された。