2014 年 34 巻 1 号 p. 91-108
意思決定者の外部環境に対する認識が,企業戦略において重要な役割を果たすことが主張されてきたが,本稿は,とりわけマーケティング活動の選択において,マネジャーの外部環境に対する知覚がどのように影響を与えるかに焦点を当てる。マーケティング・マネジャーの知覚を,Shrivastava & Mitroffの準拠枠に従い,起業家的,官僚的,専門家的,政治的準拠枠を持つものとして類型化し,マーケティング活動においては,取引型マーケティング,データベース・マーケティング,インタラクティブ・マーケティング,ネットワーク・マーケティングの4つに類型化する。アラブ圏のパレスチナ,UAE,エジプトの3国において,マネジャー層を調査対象としてデータ収集を行い,準拠枠とマーケティング活動とのパターン・マッチングについて構造方程式モデリングを用いて確認した。本研究の成果は,マネジャーの知覚と選択する活動との一貫性を識別した点にあり,調査対象となった経済・文化圏では,マーケティング活動の多様性は,外部環境に対するコンティンジェントな要因というよりはむしろ,マネジャーの様々な知覚に起因することを示すものである。