2015 年 34 巻 3 号 p. 5-26
ソーシャルメディアの普及と発展はインターネット上に消費者発信による大量の情報を生み出した。それは従来おこなわれてきたマスメディアを活用したリーチを重視したマーケティングコミュニケーションの世界に対して,ユーザーやファンによるクチコミを通じた新しいコミュニケーションの可能性を生みだしている。
本稿では,このような環境変化のなかで,自ら積極的に商品,サービス,企業やブランドについて情報を発信したり語ったりする新しいタイプの顧客に注目する。
そして,その新しいタイプの顧客を見つけだし,企業が公認し,積極的にクチコミをしてくれる発信力のある顧客を「アンバサダー」と定義し,企業が実際の顧客であるアンバサダーと一緒になって永続的に企業のマーケティング活動をおこなっていく活動について論じる。
またその際のクチコミには,従来のマス広告を通じたコミュニケーションに対してどのような違いや可能性や課題があるのか,さらにアンバサダーのクチコミには広告価値がある,ということの検証方法について論じたい。