本論文の目的は,ある人物像に対して社会的に共有されたイメージ,すなわち社会タイプ(social type)がどのようなものかを明らかにすることにある。具体的には,「大人女子」とか「アラフォー女子」という表現で最近多用されることが多い「女子」という表現が,どのような人物像を想起させるのか,という問題に着目する。吉田秀雄記念事業財団が実施したオムニバス消費者調査から明らかになった知見は主に2つある。ひとつは,年齢や男女を問わず,「女子力」ということばが肯定的なイメージを持つ,ということである。これは,「女子力」ということばが「アップ」(もしくは「up」)という表現と強く結びついているという「女子力」に関する雑誌記事タイトルのテキストマイニングを行った既存研究の結果と整合的である。もうひとつは,回答者の年齢が上がるにつれて,イメージされる「女子」の年齢もまた上がり,かつ,そもそも年齢に依存しないと考える者が多くなるということである。自身の年齢に応じて,ある人物像についての年齢のイメージが変わることは,知覚年齢(perceived age)に関する既存研究には見いだせない新しい知見である。