マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
論文
新市場開拓における通信販売の可能性
─ 単品通販に注目して ─
三村 優美子朴 正洙
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2015 年 35 巻 1 号 p. 50-65

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抄録

知識や経験蓄積による消費者意識の変化とネットの普及を背景に無店舗販売が成長している。特に,ネット販売の伸長は従来型の店舗小売業にとって脅威となっており,ネットと店舗との融合あるいは専門性や人的な顧客対応力の強化など店舗小売業のあり方を再構築する流れが加速している。通信販売においても,ネット販売は従来のカタログ通販企業の基盤を崩しており,その構造変化とタイプ分化を誘発している。その中で注目されるのは,健康食品,サプリメント,化粧品などの分野で台頭している単品通販と呼ばれる存在である。ここでは,漢方薬,ハーブ,酒麹,蜂蜜,野菜・果実などの自然素材を使った製品の専門メーカーが事業を展開していたが,近年,食品・飲料,トイレタリーなどの有力消費財メーカーが新事業分野として積極的に参入している。
当研究では,通信販売のタイプ分化とそこにおける単品通販の位置づけ,また,消費財メーカーの観点からなぜ既存店舗チャネルではなく通信販売が新しい販売チャネルとして選択されるのか,そしてこのような単品通販を成功させる要件は何かについて,事例研究を踏まえながら明らかにしていく。

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© 2015 The Author(s).
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