2016 年 35 巻 3 号 p. 125-135
原産国イメージ効果研究は1960年代から始まり,現在も感情的メカニズムの観点から盛んに研究がおこなわれている。一方,急速なグローバル化のもと,インターナショナリズムや消費者コスモポリタニズムといった,原産国非特定的な感情に関する研究が注目を集めてきている。問題は,これらを原産国イメージ効果研究に含めて検討すべきかどうかである。本稿では,消費者イデオロギー効果研究という新たな枠組みを提示することで,この問題を解決すると同時に,消費者エスノセントリズムを嚆矢とした消費者イデオロギー効果研究の潮流を著者独自の三つの観点から整理する。最後に,今後の検討課題および研究の方向性を提示する。