2016 年 35 巻 4 号 p. 90-104
これまでの消費者行動研究において特定店舗内を対象とした購買行動研究は数多く取り組まれてきているが,利用店舗選択から購買行動へと結びつく一連の場である複合型商業施設を対象とした買い回り行動の解明はほとんど試みられていない。本研究は,複合型商業施設における買い回り行動について,GPSデータを用いて感情研究の視点から考察している。
都心型アウトレットモールである南町田グランベリーモールで,実際の消費者を対象にGPS調査を実施し,回遊距離や行動範囲,立ち止まり傾向といった行動特性と買い回り行動との結びつきについて検証した。また,購買前に抱いている事前感情が買い回り行動に与える影響についても検証している。探索的な分析を通じて,11秒以上の立ち止まり箇所数の増加により,消費者の非計画購買は促進することが明らかになった。