マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
論文
企業と消費者の共創活動における,参加者のモチベーションに関する研究
─ クックパッド・楽天レシピ 比較事例研究 ─
青木 慶
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2016 年 35 巻 4 号 p. 105-125

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抄録

Web2.0以降,消費者は情報の受け手であるだけではなく,発信者としても重要な役割を担うようになってきた。消費者発の情報をビジネスに取り入れて,価値共創を実現する企業が多く見られ始めている。例えば月間のべ利用者が5000万人を超え,日本最大のレシピサイトである『クックパッド』では消費者から200万を超えるレシピが投稿され,同社の基幹コンテンツを形成する。なぜ消費者は企業にアイデアを提供するのか。
本稿では,企業と消費者の持続的な共創活動について示唆を得ることを目的とし,『クックパッド』と『楽天レシピ』の共創参加者(投稿経験者)1000人を対象に,彼らのモチベーションについて質問票調査を実施した。後者は金銭的インセンティブを導入している点で前者と異なる。
調査の結果,他者からのフィードバックあるいは金銭的インセンティブが,それぞれ参加者のモチベーションと重要な関連性があることが実証的に明らかになった。また,どちらにも投稿している併用者が一定数存在し,彼らのモチベーションはインセンティブに因らない高次の目的にあることが探索的に明らかになった。

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© 2016 The Author(s).
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