マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
論文
トランジションとブランド・リレーションシップ
─ トランジションを乗り越えるブランドは何が異なるのか? ─
菅野 佐織
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2016 年 36 巻 1 号 p. 27-41

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抄録

本論文では,消費者のブランド・スイッチの要因の1つであるトランジション(転機)に着目し,トランジションが消費者とブランドとの関係性に与える影響について考察を行う。通常,トランジションでは,大なり小なりのストレス(心理的不安や脅威)が生じることが指摘されている。従来,このようなネガティブな感情は,消費者のブランド評価を下げることが指摘されているが,近年,不安や脅威の感情は,ブランドへの愛着を高めるという指摘もされている。本論文の目的は,ストレスフルなトランジションにおいて,どのような場合にブランドの関係性が維持または強化され,どのような場合に低下するのかについて,定性調査によって明らかにすることである。結果,ストレスフルなトランジションにおいて,消費者がブランドに対してBBSBC(企業によって創出されたブランドの意味と自己との結びつき)およびCBSBC(消費者自身によって創出されたブランドの意味と自己との結びつき)の両方を知覚している場合,ブランドとの関係性は維持されることが分かった。

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© 2016 The Author(s).
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