ブランドに対する強い好意的態度は,どのような理由に基づいて形成されているだろうか?本研究は,好意的ブランド態度の中でも,とりわけ長期的にファンであり続けてくれるような特に強い好意的態度に注目し,その構成要素を明らかにした。これまでの研究では,ブランド態度の構成要素は「認知」と「感情」の2次元から捉えられてきたが,本研究はこれに加えて,評価の源泉に注目した新しい枠組みを提唱した。すなわち,自らの経験や主観に基づく評価(自己ベース評価)と周囲の評判に基づく評価(他者ベース評価)という分類の枠組みである。消費者のブランド態度を調査した結果,本研究が想定した通り「自己ベース感情」「自己ベース認知」「他者ベース感情」「他者ベース認知」の4つの因子の存在が確認された。また,この4つの中で「自己ベース感情」のみが強く好意的なブランド態度を導くことが明らかになった。この結果はラグジュアリーブランドでもノンラグジュアリーブランドでも共通してみられた。考察では,自己ベース感情の重要性について,学術的および実務的視点から論じられた。