2016 年 36 巻 2 号 p. 62-77
チェーン・ストア経営に対して懐疑的な「脱チェーンストア」の動きが盛んである。しかし,チェーン・ストア経営の是非については,その原理・原則を全面的に受け入れるのか,もしくはそこから脱却するのか,という単純な議論ではなく,その経営形態としての有効性を実現するための課題を明らかにし,その解決に向けて取り組む必要がある。現在の小売競争環境におけるその課題とは,顧客が期待する商品やサービスをリアル店舗で提供することの重要性,生鮮食品のように地域性が高い商品の調達や取引関係構築の必要性,およびチェーン・ストア経営のメリットと店舗主体性との両立,といったことである。