2016 年 36 巻 2 号 p. 78-110
ビッグデータ環境下におけるブランドエクイティ測定モデルは,多種多様なデータ,リアルタイム性への対応が要求されると考えられる。さらに,複雑化する情報メディア環境において,ブランドエクイティの維持・構築のためには,そうした環境への技術的な対応のみならず,消費者におけるブランドエクイティの情報処理過程を捉えるための測定モデルの構築が要請される。そこで,本研究では,コネクショニズムアプローチの観点から,進化型多層ニューラルネットワークモデルにより実証的な検討を行い,消費者において当該ブランドに対するブランドへの絆が形成されていく心的過程をモデル化することができた。本研究で扱ったデータは,実務的に扱うことが多いであろうアンケートデータにおける回答と自由回答におけるテキストデータを使用してモデルの構築・検証を行ったものであるが,今後のビッグデータ環境における技術的対応に加え,消費者のインサイトを捉えるためのブランドエクイティ測定モデル確立へ向けて,示唆を得ることができた点において意義があると考えられる。