マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
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マーケティングにおけるコンテクストの役割
磯田 友里子
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2016 年 36 巻 2 号 p. 162-174

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抄録

伝統的情報処理理論において,人の知識は文脈や環境の影響を受けない独立した概念であると考えられてきた。しかし近年,知識の文脈依存性が指摘され,消費者がおかれた環境(気温や香り,他者の存在等)が意思決定や製品評価に与える影響に注目した研究成果が蓄積されつつある。そこで本稿では,知識は身体感覚や周辺環境と相互作用する依存的なものであるとする新しい認知の理論「グラウンディッド・コグニション」を中心にレビューを行い,こうした知見がマーケティングや経済学でどのように位置付けられてきたかを検討する。さらに,マーケティングにおける文脈(コンテクスト)が,知覚品質の向上や市場におけるポジショニング,ブランドの強化にいかに貢献しうるかを明らかにし,今後のコンテクスト研究の方向性を示す。

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© 2016 The Author(s).
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