2017 年 36 巻 3 号 p. 6-22
IMCが提唱されてから四半世紀が過ぎ,研究と実践は新興国を含む非英語圏にまで拡大した。その概念は①視聴覚要素の一貫性を目指す戦術的統合から②知覚イメージの統合,③ITの活用,④財務指標を重視する戦略的ビジネス・プロセスへと進化した。この背景にはダイレクト・マーケティングの発展と,関係性マーケティングやブランド・エクイティ,消費者知識などに関する研究の進展があり,さらにはIMCケイパビリティ等の組織能力や資源を組み込んだIMCの統合的枠組みも提唱されるようになった。一方,実務においてはメディア・プランニングを中心にした変革が進み,教育においては伝統的なプロモーション・ミックスに留まるような齟齬も生じている。立場の相違により重視点が異なることを所与としても,個々の構成概念を明確にし,プランニングの要となる目標設定と評価方法等を精緻化する必要があるだろう。