2017 年 36 巻 3 号 p. 37-50
本論文の目的は,医療サービスにおける予防的コミュニケーションの成功要因を整理し,実証分析のための枠組みを作ることである。予防的コミュニケーションに関して関連する理論を渉猟して検討した結果12の仮説が得られた。そのうちの3つの仮説に対して探索的に実験を行った。結果として,①セルフ・エフィカシーを高められるメッセージであればあるほど,予防的コミュニケーションは成功しやすい,②セルフ・エフィカシーを高めるメッセージの場合,ゲイン・フレームより,ロス・フレームのメッセージが有効である,③セルフ・エフィカシーを高めるメッセージの場合,ゲイン・フレームより,ロス・フレームのメッセージの方が,行動変容ステージを促進しやすい,が支持された。医療サービスにおける予防的コミュニケーション成功のためにセルフ・エフィカシーを高めることの有用性が示唆された。