2017 年 36 巻 3 号 p. 71-87
本論文の目的は,交換という視点からブランドの基本的な働きを解明することにある。本論で扱う問題は以下の2つである。(1)ブランドは交換の過程においてどのように機能し,独自のブランド価値を生じるのか。(2)現代においてブランドはどのように生成してきたのか。ブランドは交換に伴う本質的な困難を解決する有力な方法のひとつとして在り,6つの異なった価値体系同士の差異を通して価値を産みだしている。こうしたブランド力を産み出す差異の源泉のひとつとして,20世紀に入りイノベーションが機能するようになった。ブランドが成立するのはイノベーションの後の過程でイノベーションの存在が忘却されるというメカニズムがあるからである。最後に実務的インプリケーションについて論じる。