消費者の広告回避に焦点を合わせた一連の既存研究は,「なぜ,消費者は広告を回避したり,回避しなかったりするのか」という問いに解答を与えようと試みてきた。これらの既存研究によって形成された研究潮流においては,比較的近年の注目すべき傾向として,複数の国や地域を対象とした国際比較が展開されるようになっている。本稿は,消費者の広告回避に関する国際比較研究における今後の方向性として,(1)複数の国や地域の間の共通性と相違性を説明可能な理論から仮説を導出したうえで,(2)翻訳の同等性以外の同等性も慎重に吟味することが必要であるということを示唆する。