2018 年 37 巻 4 号 p. 33-46
本論文では,エフェクチュエーションを支える制度を,組織としていかに構築していくかを探索する。そのために本論文は,株式会社サイバーエージェントという社内スタートアップの創出に長けた企業が,その社内制度をどのような試行錯誤のなかから編み出してきたかを,同社の社内資料をもとに振り返る。その結果として見えてくるのは,サイバーエージェントでは,大量の提案を生み出す制度,より多くの社員のあいだに決断経験の機会を広げる制度,スタートアップの撤退ラインを明文化した制度,そして非金銭的報酬を重視した制度の充実が,その社内でのエフェクチュアルな行動をうながしているという関係である。