2018 年 37 巻 4 号 p. 66-87
本研究では,消費者のセルフケア行動に対する医薬品情報提供サービスのあり方をサービス・ドミナント・ロジックの観点から検討する。消費者は自身の健康管理において健康に関するさまざまな情報を利用し,セルフケア行動を通して健康を維持するという価値を創造している。そのセルフケア行動において,OTC医薬品を活用して行うセルフメディケーションの場合,医薬品の外箱や添付の説明書などの情報を利用することになる。それらは製品の機能や特徴に関する情報が主体となっており,使用中のどの段階で必要になる情報なのか,時系列管理できる情報デザインとはなっていない。これは,製品(モノ)の情報提供サービスと考えられ,消費者の健康価値創造に対するサービスとはなっていないと考えられる。そこで,OTC医薬品の情報提供サービスの現状を,消費者のセルフケア行動に対する価値提案,自己管理用の情報デザイン,情報提供及び管理資源の構成の視点から見直し,さらに,医療サービスの領域で既に活用されている自己管理のための医薬品情報提供サービスについて同様の観点から検討し,消費者のセルフケア行動に対する医薬品情報提供サービスのあり方を考察する。