2018 年 38 巻 2 号 p. 21-38
店頭におけるパッケージのコミュニケーション効果には古くから期待が寄せられてきた。しかしながら,先行研究を概観すると,パッケージに掲載すべき情報量に関する議論はそれほど進められていないことが分かる。そこで本研究では,情報量の異なるパッケージへの消費者反応を検討した。その際,制御焦点による調整効果に注目し,消費者の個人特性や製品特徴によって生じる違いについても議論した。アイ・トラッキングによって視線を測定した実験1では,予防焦点の消費者においてパッケージに対する注視回数が多いことを確認した。実験2と実験3では,情報量の増加によって生起する情報過剰感が促進焦点の消費者において製品理解や製品評価に負の影響を及ぼすことを指摘した。実験4では,促進焦点に基づく訴求内容の広告にパッケージが掲載された場合,情報過剰感の高いパッケージへの評価が高認知欲求の消費者において低下することを示した。