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研究報告会レポート

第2回観光・地域マーケティング研究報告会レポート「大丸の訪日客誘致の取り組み」

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講演者:松矢康彦氏(株式会社大丸松坂屋百貨店 本社営業企画室関西営業推進部長)

テーマ:「大丸の訪日客誘致の取り組み」

日程:2013年1月22日16:00-18:00

場所:流通科学大学大阪オフィス

 

・ 大丸百貨店では、金額ベースで20億円、全売り上げの3%を訪日外国人客に頼っている。これは免税措置をした数字から割り出されている

・ 大丸松坂屋の店別でみると心斎橋店の売り上げが群を抜いて高い(下記図参照)。

 

大丸高島屋店別免税実績

出所:株式会社大丸松坂屋百貨店

 

・ 心斎橋というエリアは、外国人の方にとって、観光の中心となる非常に魅力的な街と捉えられている。特にこれまでは中国の団体ツアーのお客の誘致においては競争優位の高い地域と言える。

・ 伝統的で日本的な商店街というスタイルは外国人のお客に好まれている。また、近隣には、大阪の食の中心地「くいだおれ」の道頓堀、大阪を象徴するグリコの看板もあり、心斎橋筋は歴史・文化があり、食い倒れ、買い倒れを楽しめる街ということで人気が高いと分析をしている。

 

・ 心斎橋店では、来阪したお客への認知度の向上を目指し、確実に来店・買い物をするための取組みを強化してきた。

・ ポイントの1つ目が、「短時間で、見やすく、買いやすいサービス」の提供。限られた時間の中で効率よく買い物ができるようにという視点から店舗・サービス・MDの魅力アップに取り組んできた。

・ 2つ目が、「来街者へのアピール・近隣施設との連携」である。商店街や近隣ホテルはもちろん、空港や観光案内所といった、来店の可能性が高いお客への接触ポイントをいかに増やすか、ということを重点に実施してきた。

・ また、サービスカウンターに免税手続き・海外発送・外貨両替を集約したり現在ではスタンダードとなっている銀聯カードでの決済も、心斎橋ではいち早く導入した。2009年11月の北館開業時には44台、現在ではさらに増設し54台設置と、ほぼすべてのフロアを網羅している。

・ サービス面では、言葉が通じないという最大のネックを解決するために、人による言葉の壁を越えたコミュニケーションの取り組みについて強化してきた。

・ 4ヶ国語のフロアマップの作成はもとより、2008年の6月から、いち早く英語・中国語・韓国語の3ヶ国語対応の電話通訳サービスを導入した。

・ また指差し会話集も、各売場に準備し対応している。

・ さらに、中国人観光客の急増に対応すべく、2009年からは中国語の通訳スタッフを常駐させてサービスの向上に努めている。

・ 今後は、従来の中国団体客というカテゴリーだけでなく、国別の対応、個人マーケットへの対応、地方都市への訪問客の増加に対応をするため、単体での取り組みだけでは規模感の点で限界があると感じる。地域・大阪・関西としての集客力・魅力を向上し、発信していくために、今以上に地域や他企業との連携、あるいは官民一体の視点でのプロモーション展開をしなければいけないと考えている。

 

松矢部長

写真:発表者の松矢部長

 
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