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研究報告会レポート

第6回 エフェクチュエーション研究報告会(春のリサプロ祭り)レポート「大企業におけるエフェクチュエーション」

第6回 エフェクチュエーション研究報告会(春のリサプロ祭り) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:「大企業におけるエフェクチュエーション」

  1. 大企業におけるエフェクチュエーション コマツの事例
    藤岡 昌則(三菱日立パワーシステムズ(株) 高砂サービス部)
  2. ビジネススクールにおけるエフェクチュエーション教育の実際①
    吉田 満梨(立命館大学 経営学部 准教授)
  3. ビジネススクールにおけるエフェクチュエーション教育の実際②
    高瀬 進(京都大学経営管理大学院 特定助教)

日 程:2018年3月17日(土)14:45-16:15
場 所:中央大学ビジネススクール
 

【報告会レポート】
 2018年春のリサプロ祭りにおけるエフェクチュエーション研究会の発表は、起業家の意思決定に関する研究知見であるエフェクチュエーションの、大企業における適用可能性について理解を深めるため、コマツとキャタピラーの比較事例研究を、藤岡昌則氏が発表しました。
 藤岡氏によれば、2000年代中旬以降、コマツは、KOMTRAXに引き続き、ロボティクスや人工知能の技術を結果的に導入し、一方、キャタピラーは、ロボティクスやAIの技術導入が遅れていったことを、事例研究を通じて明らかにしました。その背景として、両者の経営者(CEO)の役割における分析視点として、エフェクチュエーションの適用可能性を見出したものです。理論的には、サーバタイゼーションと認知科学におけるレビューにも言及したものでしたが、聴衆からは、大企業における理解を促進させるため、何らかのフレームを活用した方が有用であるが、コーゼーションとの相剋への指摘など、活発な議論が展開されました。
 続いて、吉田がリサーチプロジェクトのテーマである「エフェクチュエーション」とは何かについて、冒頭で概要を報告した。エフェクチュエーションとは、Knight(1921)の真の不確実性への対処において、「環境を自らの行為によってコントロールすることで、予測を不要にする」アプローチであることや、エフェクチュエーションを構成する5つの原則について確認をした。その上で、「エフェクチュエーションは、大企業の実践においても有効か?」という問いに対しては、『マーケティングジャーナル』第148号掲載の、マーケターを対象としたパイロット調査の結果を紹介した。また「エフェクチュエーションは、どのように学習可能か?」という問いに対しては、2017年より関西学院大学経営戦略研究科で担当しているエフェクチュエーションに特化した科目、「イノベーション実践」における教育事例の共有を行った。
 今回の報告会では、社内研修からのイノベーションの創出、コーポレート・アクセラレーションの実際におけるエフェクチュエーションの適用可能性について、現場会場からも多くの方から、理論的関心や疑問点について質問がなされました。藤岡氏、吉田氏と聴衆との議論は、マーケティングから企業家研究、認知科学まで多岐にわたり、多くのことを学ぶことができ、きわめて充実した研究報告会となりました。

 
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