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研究報告会レポート

第5回観光・地域マーケティング研究報告会レポート「自治体インターンシップによるまちづくり」
「川崎市/夜景ツアーへの取り組み」

第5回 観光・地域マーケティング研究報告会 > 研究会の詳細はこちら

テーマ1:「自治体インターンシップによるまちづくり」
講演者:林 賢司 氏(Founding Base 共同代表)
テーマ2:「川崎市/夜景ツアーへの取り組み」
講演者:亀山安之氏(川崎市観光協会 観光推進部長) 
日程:2013年8月16日(金)15:00-18:00
場所:フクラシア東京ステーション

 
 

15:00~16:30 講演及び質疑応答 
講演者: 林 賢司 氏(Founding Base 共同代表)
テーマ1:「自治体インターンシップによるまちづくり」

 

・2012年4月立上げのFounding Base(それまでは別の名称)はまちづくりの活動をおこなっている
・学生が1年休学し、首長付で課題の解決を通じた活性化を目指す
・地域おこし協力隊の事業予算でおこなっている
・キーマン(学生)の募集、アウトプットの管理メンバーのメンタルサポート
・コミュニティソリューションを専門としている
・白馬村新民宿プロジェクト(2010年)。対象民宿2軒、宿泊数2倍、売上3倍になった
・来(こ)ら丼プロジェクト-津和野町。ベルリンとのコラボレーション丼、対象店舗5軒、売上2000食(月間、1店舗の最大)
・社会問題の解決からのアプローチ
・協働代表の佐々木喬司(リクルート出身)は「今の学生に企業が欲しがる人間がいない」という思いを持った。理不尽がまかり通る中で、PDCAが回せていける人材が必要。ヒトモノカネを動かすことで学生は育つ
・学生が行きたい町をめざして対応をして欲しいとして送り出す。プログラム終了後に企業の欲しがる人間になっている、起業をしているになっていることを目指す
・津和野町長を囲む会を東京で行い、4人の学生が手を上げた
・現地では町議員、町民とのミーティングを通じておこなうことになった。うち2人は2年目に。1年目営業課。2年目以降は農林課、商工観光課、観光協会などに属する
・Founding Baseは彼らのプロジェクト支援、生活支援のサポートをおこなう
・課題活性は町長からの課題、自由活性はキーマンが町の課題を考える
・観光客と町民の交流をテーマに始めることになった
・津和野観光の課題-来町から離町までの体験、食事、宿泊について考える。ほとんど宿泊がない、日帰り客。しかし、宿泊のインセンティブにつながるコンテンツが弱い。温泉が無い。夜の遊び場がない
・そこで、町長からの課題は、20~30歳代の女性に向けたコンテンツ開発、滞在時間を長くしていく
・行政任せの住民。客が少ないから何とかしろという観光事業者がいる環境下での出発であった
・まち歩きの道事業を展開…見本は大阪あそ歩、長崎さるくであった
・完成したものが津和野さんぽ道。マップの案内人が主役。しかし事前予約ができず、マップも町なかにおかれているだけで集客のあり方に課題
・今後、津和野さんぽ道は100種類をめざしている、利益がでるようにすることが目標(このままでは持続可能性がない)
・来年は3自治体での受入にしたい。企業には、ここでの活動が人材の採用、育成につながっているということの証明をしたい

 

【質疑応答】
・これは大学が顧客ではないか。提案自体はさほどおもしろくないし、学生が課題解決できるのは難しいのではないか
・商業系からまちづくりに入るのは難しい。どんな学部・タイプの人間を送り込んでいるのか。東工大の建築の学生が1人、慶応の商学部が2人、国際基督教大学1人(社会人経験あり)。明確な目的意識があるかないかが重要
・町議会議員のうち1人は学生のこの事業でできることは少ないと思って反対。地域の人も休みを削ってまでやるので、いい加減なことでは続かないと指摘された
・建築学生は目的意識があって、くらいついていった。まちづくりをやりたいとボヤ-としている女学生は「あんたはここで何をやりたいんだ」で心が折れた
・津和野は観光問題絵はなく社会問題そのものでは無いかと思う
・半年経つと学生の顔つきが変わる。起業したいという思いの学生19歳がかわっていくことがわかる
・学生が入ることで、まちなかの人間関係が変わる可能性がある。学生が人間関係を攪拌するという現象を生み出す。それはよそ者の力だろう
・津和野くらいの大きさが学生の動きが見えるサイズではないか
・活性化というのは、人が活性しているということと定義している。視覚的に見せることが必要だと思っている
・津和野は5年が目標。観光客数、経済効果、定住人口増というのが一般的だが、指標も持ち方が地域の人の豊かさのようなものになっている-地域の人たちが自ら考え判断することが求められている

 

研究会の様子 講演者の林氏
写真左から、研究会の様子、講演者の林氏

 
 

16:30~18:00 講演及び質疑応答 
講演者:亀山 安之 氏(川崎市観光協会 観光推進部長)
テーマ2:「川崎市/夜景ツアーへの取り組み」

 

・産業観光に取り組むきっかけはについて
平成17年に策定した川崎市の観光振興プランの中で、産業観光に取り組むこととし、同年7月に川崎市観光協会連合会、川崎市、川崎商工会議所を中心に、学識経験者、関係企業、観光事業者等で「川崎産業観光振興協議会」を設立した。

 

・産業観光振興協議会の活動について
事務局は観光協会、市、商工会議所の3者であるが、中心は観光協会のよう。
メンバーは40~50名。
1000万円ぐらいの予算をもって定期的な会合を開催し、講演会やパネルディスカッション、報告会、検定試験等を実施。
平成20年に市民対象にモニターツアーを実施。市外、県外を対象にしたのは昨年から。

 

・受け入れ施設は協力的なのか
当初から見学施設を持っていたのは2施設のみ(東芝、味の素)。それ以外は、担当者が一軒一軒回って、「地域貢献」として協力をお願いした。消費者に直結しているところが少ないため、理解を得るのに苦労した。
今は28施設を紹介しているが、それ以外にもどんどん開拓していっている。
皆、職員が案内対応してくれているので、土日はダメなところが多い。
夜景ツアーの中に入っている、「普段入れない川崎臨港倉庫㈱の屋上」は、謝礼を払って対応してもらっている。

 

・協力してくれる人材育成について
川崎産業観光検定を毎年実施。市民からの受験者が多く、これまで200名ぐらい?が受験。合格率は初級で20%未満、上級で10%未満。
合格者で「産業観光を支援する会」をつくり、1)「産業観光ガイド」、「夜景ナビゲーター」としての活動と2)屋形船の受付をやってもらっている。
活動にあたり、交通費、食事代程度の謝礼を出している。昼間の産業観光ツアーのガイドで1日5000円程度(旅行会社から支給)。
産業観光ガイドが15名程度、夜景ナビゲーターが5名程度。夜景ナビは産業だけでなく、幅広く話ができる必要があるのでハードルが高い。主婦、リタイア組が大半を占めているが若い現役の人も一部を占める。

 

・どのようなツアーがあるのか
①日常的に商品化されているのが3コース(年間5000人程度)。屋形船クルーズ(今年はほぼ満席、長八海運)、川崎工場夜景バスツアー(当初JTB、現在はホワイトベアファミリー、1年半は満席であったが常態的なプロモーション活動ができず)、川崎工場夜景ツアー(はとバス、2010年から常に満席状態、コースは全く変わらない)。
②これ以外に、毎月1回、昼間にいろいろな施設を巡る川崎産業観光ツアーを実施。各施設、年1回程度の案内にしている。毎月、ツアー実施社を京急、JTB、近畿日本ツーリストで見積もりを取って決定していた。基本的にツアー造成にあたり助成金等は出していないが、参加しやすいよう5000円程度のツアーにする必要があるので、時々、助成金を出して価格を押さえることもある。企画・調整・行程づくりは協会が担当し、旅行会社の役割はバス手配と受付、添乗、施設との事前確認ぐらい。いつも人気があり、予約受付の1~2時間で売り切れる。通常はバス1台分で対応しているが、人気があってもめそうな場合には2台用意。
2012年で年間50件-約2000名の団体旅行。

 

・ターゲット
上記のツアー①については、口コミやメディア報道により、女性が多く(全体の7割ぐらい)、若い人も結構参加してくれている。②についても女性が6割ぐらいを占めるが、こちらは主婦やリタイア組が多く、リピーターも多い。

 

・ツアーの企画・コーディネートは誰がしているのか?
観光協会の亀山氏(公募で現職について今年5年目。元全日空社員で、旅行会社やマスコミとの付き合い方や商品造成ノウハウについてもよく知っている)が中心。
規定のツアー以外に、教育旅行や団体旅行用にさまざまなコースをコーディネートしている。

 

・成功の要因は何か
どういうコースが売れるのか、事前によくマーケティングを行うこと。相手のニーズを把握してそれに合わせること。観光客やマスコミ、旅行会社が何を求めているのかをまず考え実行する。まず足元(市民)、次に首都圏、全国と徐々に展開させていった。次はインバウンドを考えている。
川崎はビジネスユースのホテルが多いので、宿泊にはこだわっていない。一部、ツアーを宿泊プランに入れている程度。さまざまな施設や市民の協力が必要なので、地元力が問われる。

 

講演中の亀山氏
講演中の亀山氏

 
 

懇親会(終了後~)

 

 
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