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研究報告会レポート

第3回ファッション・マーケティング研究報告会レポート「大学院生からみた日本のファッションビジネス — 修士課程院生の研究成果報告3報 —」

第3回ファッション・マーケティング研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:大学院生からみた日本のファッションビジネス — 修士課程院生の研究成果報告3報 —

  1. 日中の繊維産業・産地の発展プロセスに関する研究 — グローバル・バリュー・チェーン理論に基づく比較分析 —
    シュウ テツエ 氏(文化ファッション大学院大学 ファッションビジネス研究科 2年)
  2. ラグジュアリーブランドとZ世代消費者間のデジタルコミュニケーションについて — LINEユーザーを中心に —
    リ ガサイ 氏(文化ファッション大学院大学 ファッションビジネス研究科 2年)
  3. 古着市場の現状と今後の展開の可能性 — 「DoLukE」などの事例研究からの考察
    森井 啓太 氏(青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 2年)(代理:宮副先生)

 
日 程:2025年3月8日(土)15:00-16:50
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 第3回研究報告会は、これからのファッション市場を牽引し、消費者の中心となることで各方面から大きな注目を集めているZ世代である、現役大学院生の研究を取り上げました。
 まず、第1番目の報告者:シュウ テツエ氏からは、日本と中国の繊維産地の現状及びその形成過程の違いに着眼した研究成果が報告されました。中国でアパレルのOEM生産ビジネスの経験もあるシュウ氏は、繊維産業の発展過程でも先進国である日本から中国が学べること、逆に中国の繊維産業・繊維産地のあり方から日本が学べることもあるのではないかとの思いから、この研究に取り組まれました。グローバル・バリュー・チェーン(GVC)理論をベースに多角的な分析を行った結果、日本に関しては、高付加価値の川中企業を国内に確保することの重要性が、中国に関しては、中国本土のブランド構築を強化していくことの重要性などが指摘されました。
 

シュウ氏作成の発表資料と発表の様子
 
 次に、リ ガサイ氏の発表は、「ラグジュアリーブランドがソーシャルメディアを活用してZ世代向けにどのようなSNSマーケティングを展開しているのか、SNSマーケティング(特にLINE)の果たしている役割、その目的についての研究発表でした。数あるSNSの中でも日本で非常に活用されているLINEに着目し、ラグジュアリーブランドにおけるLINEを活用した双方向コミュニケーションが、Z世代のブランドエンゲージメント、ロイヤルティ、購買行動に与える影響について明らかにされた量的実証研究でした。
 

リ氏作成の発表資料と発表の様子
 
 最後、森井氏の研究に関しては、近年活性化を見せる古着市場の販売実態を調査し、その販売形態別にそのような特徴や違いがあるのかを明らかにするとともに、消費者が期待する古着へのニーズによって、古着販売がいかにあるべきかを検討することを研究の目的としたものでした。古着販売企業について、販売形態別にタイプ分類を行い、店舗販売を主とする小売業-(1)販売中心の個店型(A-1型)、(2)買取り・販売を行う個店型(A-2型)、(3)買取り・販売を行う多店舗型(B型)について、代表店舗(リアル店舗)を設定してフィールドリサーチを行い、その上でそれぞれの対象顧客(実際の来店顧客あるいは購入顧客)、品揃え、コミュニケーション手法、販売手法などマーケティングの要素での特徴・違いが明らかにされた点はこの分野の研究への貢献といえるでしょう。
 

森井氏作成の発表資料と発表(代理:宮副先生)の様子
 
【報告会を終えて】
 長年様々な課題が指摘されながらも、その解決に向けた動きは遅々として進まない部分もある日本のファッション産業・ファッションビジネスではありますが、ファッションビジネスを専攻した留学生たち・Z世代消費者が取り組んだ今回の研究報告3報は、真正面から業界が抱える課題、日本のファッションビジネスの最前線について分析・考察した、とても充実した研究内容でした。特に、中国からの留学生2名の研究は、自国と日本の違いに着目し、その違いが生じた要因やその違いによってもたらされる影響に関して関心を持ち、それを解明する研究に取り組んでくれたことに、改めて日本人として感謝したいと思いました。
 また、森井氏の日本の古着市場に関する研究は、古着販売企業を販売形態別にタイプ分類し、それぞれに関してマーケティングの4P視点で特徴・違いに関して明らかにされており、今後の業界研究において、この貢献は大きいのではないかと考えます。
 3報ともに修士論文とはいえ、充実した研究報告会となりました。
 最後に、今回ご報告頂いたシュウ氏、リ氏、森井氏(代理:宮副先生)並びにご参加頂いた方々に厚く御礼を申し上げます。
 

オンラインによる研究報告会終了後の記念撮影
 
(文責:内海 里香)

 
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