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研究報告会レポート

第1回ユーザー・イノベーション
研究報告会レポート
「ユーザー・イノベーション:
消費者から始まるものづくりの未来」

第1回ユーザー・イノベーション研究報告会

テーマ:「ユーザー・イノベーション: 消費者から始まるものづくりの未来」
講演者:神戸大学経営学研究科 教授 小川 進 氏
日 程:2014年7月12日(土)11:00〜12:30
場 所:法政大学 市ヶ谷キャンパス
共 催:法政大学経営学部・大学院経営学研究科 西川英彦研究室
 
 

 記念すべき第1回は、ユーザー・イノベーション研究の第一人者である神戸大学の小川進教授をゲストに迎え、約150名が参加。冒頭でプロジェクトリーダーの法政大学西川英彦教授より、研究目的や研究方法および研究計画の確認が行われた後に、小川先生より最新刊『ユーザーイノベーション』(東洋経済新報社)を中心にした講演がはじまった。

 

小川進先生
小川進先生

 

 ものづくりのプロではないユーザーが製品の創造や改良、あるいは既製品の用途革新といった形でイノベーションを行うことがあるという。こうした事例は、例えばマウンテンバイクのようなスポーツ・趣味の分野だけでなく、専門的な知識を要する医療分野でも報告されている。さらに近年行った定量調査で、ユーザー・イノベーションは特定の製品分野に限定されることなく、広範な製品分野でもはや無視できない規模で起きていることが明らかとなっている。
 では一体どんなユーザーがイノベーションを行うのか。例えばダイエット関連であればプロボクサーのように普通の消費者とは違った「極端な課題」に直面しているユーザーがその有力な候補となり得る。あるいはそれとは異なり、不特定多数の人がイノベーションの担い手になることもある。その背景には、ある条件下では多様性が専門性を上回るという理論があり、実際、良品計画や米国のQuirky社などはこれを活用した製品開発を行っている。

 

会場の様子
会場の様子

 

 ただし、一人のユーザーがイノベーションを連続的に行うというのは稀だ。そのため、企業が効率よくユーザー・イノベーションを見つけるには、特定のユーザーを囲い込むのは得策ではなく、コミュニティという単位でユーザー・イノベーションの発生と広がりを注意深く観察することが有効である。その上で、ユーザーの作った荒削りな「製品」をより多くの人にとって使いやすいものに改善するといったところにメーカーならではの大きな役割がある。
 こうした小川先生による講演を受けて、参加者との質疑や意見交換を通じて、ユーザー・イノベーションについての基本的な知識の理解や、メーカーの新たな役割についての議論を深めることができた。

 

参加者との質疑応答の様子
参加者との質疑応答の様子

 

(企画運営メンバー:堀口悟史)

 
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