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研究報告会レポート

第3回ユーザー・イノベーション
研究報告会レポート
「企業訪問型研究会 ―フェリシモ「生活雑貨大賞」の仕組み―」

第3回ユーザー・イノベーション研究報告会

テーマ:「企業訪問型研究会 ―フェリシモ「生活雑貨大賞」の仕組み―」
報告者:株式会社フェリシモ 共働企画グループ 主席係長 城島 見栄 氏
    株式会社フェリシモ 共働企画グループ 主席係長 道本 弘子 氏
    同 上席係長 山本 真紀子 氏
    同 広報部 吉川 公二 氏
日 程:2015年3月4日(水)14:00~17:00
場 所:フェリシモ本社(神戸市中央区)
 
 
 第3回を迎えた「ユーザー・イノベーション研究会」は、神戸市に本社を置く通販大手の株式会社フェリシモを訪問し、同社が展開する顧客参加型商品開発の取り組み「生活雑貨大賞」について、ご担当者の方からご講演をいただいた。
 
会場の様子
会場の様子
 
 2000年からスタートした「生活雑貨大賞」は、同社のカタログ利用者をはじめとして広く商品企画を募集するイベントで、年間1000を超える応募がある。毎年3月末と9月末に締め切られたのち、社内の審査プロセスを経て「優秀賞」が数作品選ばれ、それらは実際に商品化して同社のカタログ「kraso」に掲載される。そのなかでもっとも売上げの高かった商品には「最優秀賞」が与えられる。
 
 企画への応募だけでなく、審査プロセスにもカタログ利用者が関与し、またそうして生み出された商品にはカタログ上で読者との共創で生まれたアイテムであることを示すマークや購入者の声などが添えられて掲載されている。同社が扱う他の商品と比べても、こうして誕生した商品の売上げは好調であるという。数年前からは、カタログ利用者とフェリシモがともに力を出し合って商品を育てていくための専門部署「共働企画グループ」も社内に設けられている。
 

 
 ご講演では、いかに応募者が熱心に応募作品の企画を行っているかということや、それに応えるべく同社が審査プロセスなどをどのように工夫しているかといった内容が紹介された。その後の質疑応答でも、こうした顧客参加型商品開発が同社の組織にどのような影響を与えているのか、カタログ利用者との関係性を構築する点でどのような注意を払っているか、といったような多くの質問がなされ、活気ある雰囲気のなか研究会が終了した。
 

 
 「生活雑貨大賞」は、日本におけるユーザー・イノベーションの事例、とくに消費財分野での取り組みにおいて数少ない成功事例のひとつであると言えるだろう。今回の研究会で、実際にその商品開発組織の内情や積極的に参加している消費者の状況について情報提供いただけたことは、当分野の研究において非常に貴重な機会になったことは間違いない。ご協力いただいた株式会社フェリシモの皆様に、この場をお借りし改めて感謝の意を表したい。
 

(文責:流通科学大学 清水信年)

 
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